『HEY!HEY!HEY!』で明かした意外な素顔とコメント

　ただ、“素顔”の広末は物怖じしない少女だった。1997年6月16日放送『HEY!HEY!HEY! MUSIC CHAMP』（フジテレビ系）に出演した際、MCの浜田雅功（ダウンタウン）から「いろんな人と会ったでしょ。タレントさんとか。どんな人がカチーンときた？」といじわるな質問をされ、一度は「いないですよ」と否定したが、「ひとりくらいおったやろう？」としつこく尋ねられると、「コイツ」と松本人志（ダウンタウン）を指さして笑わせた。さらに「今、ここに『コイツ』って出たんですよね」と自分のコメントが画面のテロップに出る演出について嬉しそうに話していた。続けて、事務所に対して忙しすぎるから休みが欲しいと言っているが「できません」「がんばろうねって（事務所から言われている）」と裏事情まで明かした。

　清純派でデビューした広末だが、番組を観ているとそういった見え方からはややかけ離れていた印象があった。実際にそのあと『キシリッシュ』のCMで赤髪の謎の女性、映画『WASABI』（2002年）でも赤髪で態度が悪い女性など、いろんな面で逸脱したキャラクターもいくつか演じている。そもそも、こんにゃくゼリーを「落っことしても洗って食べちゃう」（書籍『HEY!HEY!HEY! MUSIC CHAMPよ永遠に』（1998年／フジテレビ出版）より）という大胆さも持っているほどだ。

　そういう意味では「MajiでKoiする5秒前」は、清純派、フレッシュといった広末のオフィシャルなイメージにきっちり則った楽曲であり、一方で、もしかするとそこで作られた「広末涼子像」に自身はずっと疑問を抱いていたのかもしれない。