特筆すべきはサウンドだけではない。世界的な映画祭や広告祭でも評価を受けている映像制作会社「DOLPHINERS FILMS（イルカ誘拐団）」が監督を担当し、「side A」と「side B」の2パターンで制作された「Ditto」のMVは、両者合わせて3500万回近く再生されている（1月中旬現在）。岩井俊二を彷彿とさせる淡い手触りの映像に仕上がっているのだが、どこか不思議な余韻を残すMVである。素直に見れば甘酸っぱい青春学園モノとして受け取ることもできるが、何かしらのメタファーを示唆する意味深なモチーフがいくつか登場することもあり、ファンの中では、このミステリアスなMVの解釈についての考察が盛んに行われている。NewJeansサイドから明確な解釈は表明されていないため、謎が謎を呼ぶ状況。ネットで展開されているさまざまな考察をチェックし、何度もMVを見直したのは、筆者だけではないはずだ。

　2022年に彗星のごとく登場したNewJeans。デビューから1年も経たぬうちにK-POPファンだけでなく、幅広い年代の音楽好き、映画好きをもファンダムに取り込んでしまった。楽曲やMVだけでなく、プロモーションやスタイリングにおいても定石を外す挑戦的な試みが多く見られる彼女たち。すでに貫禄さえ感じるNewJeansの動向に2023年も目が離せない。

※1：https://charts.spotify.com/charts/view/viral-jp-daily/2023-01-11