EXILE、15人で駆け抜けた全国ドームツアーが感動のファイナルへ 黒木啓司のラストステージに送られたあたたかな拍手

 またライブ中盤には、ATSUSHIとTAKAHIROが、「Lovers Again」「Ti Amo」という2大バラードをバンドサウンドが映えるニューアレンジで披露 。それぞれの楽曲でパフォーマー陣も情熱的なダンスを繰り広げ、ドラマティックに演出していた。

 ATSUSHIが平和の願いを託したバラード「願い」が会場を包み込む頃、ライブは早くも後半へ。オールメンバーによる「This is My Life」や「VICTORY」「Ki・mi・ni・mu・chu」といった人気曲たちが、時に勇ましく、時に華やかに場内を彩る。この日初めてのMCではTAKAHIROが「今日はちょっと涙腺が……。メンディー、ちょっと顔見ていい?(笑)」とおどける一幕もあったが、メンディーの笑顔に後押しされるように仕切り直すと、「愛すべき未来へ」で本編を締め括った。

 アンコールでは「EVOLUTION」や「FIREWORKS」といったEXILEの様々な楽曲をダンストラックにアレンジしたダンスショーケースからスタート。様々な世代のメンバーが己の個性を爆発させて、EXILEという名の生き様をダンスに落とし込んでいく。お揃いのジャージで24karatsメドレーを披露する中で、次々にメンバーが上裸になっていく熱い連鎖も、彼ららしい感情表現で勇ましい。EXILEのヒストリー映像の先に「道」が続く展開も、観客の心を震わせたことだろう。見つめ合いながら歌い始めたATSUSHIとTAKAHIROは、2番では頼もしい歌声に背中を預け、パフォーマーと共にファンへの感謝を歌に乗せる。今では卒業ソングとして多くの人に愛されているこの曲が、今日は大切な仲間の門出を祝う楽曲として響いていた。

 メインのMCタイムでは、事前のインタビューでも「名古屋公演のMCでファンの方と一緒に48000人と一本締めをしたあと、鳴り止まない拍手をいただいたのは本当に一生忘れられない思い出になりました。コロナで歓声が聞けないので、ファンの皆さんのクラップ音は心に響きました」と語っていた黒木啓司の「みなさんの幸せを願って……」という掛け声を合図に、温かなワンクラップ(一本締め)が響き渡った。名残惜しそうに、アーティストとして過ごした17年間への感謝を何度も叫ぶ姿が、ツアー中、何度も「引退しないよね?」と茶化していたTAKAHIROの涙さえも誘う。ファンのあたたかな眼差しを全身に浴びながら、黒木啓司は最後に「二代目 J SOUL BROTHERS/EXILE THE SECONDとアーティスト人生17年間、そしてEXILEでの14年間、たくさんの思い出をファンの皆さんと一緒に作り、人生を共に歩めた時間は大切な宝物です。本当にあたたかい応援をありがとうございました」と最後の挨拶をした。

 その一方で、アンコール前には、12月にツアーの続編ともいえる『EXILE LIVE TOUR 2022 "POWER OF WISH" Christmas Special』を開催すること、EXILEのオリジナルメンバーである松本利夫(MATSU)・ÜSA・MAKIDAIが参加することが発表され、客席からは悲鳴にも似た歓声が。このサプライズ発表に対し、ATSUSHIは「この業界に残る人間として、LDHの人間として、やらない理由がありませんでした。今年いっぱいもう少しだけ、みなさんと一緒に夢を見させてください」と涙ながらに語り、「とにかくEXILEというグループの、表現のあたたかさとかファンタジー感、夢を広げていくような希望に溢れた感じを、クリスマスソングや冬の曲などを交えながら、今年最後の締めくくりとしてみなさんと一緒に過ごすことができたらいいなと思います」とコメント。TAKAHIROも「ようやく皆さんと、クリスマスシーズンを直接同じ空間で共有できることが本当に楽しみです。冬のワクワク感をEXILEのエンタテインメントを通して全身で感じていただける内容にしたいと思います」と前向きなメッセージを寄せた。

 そして、明るい未来を見据えながら届けるラストナンバーは「Choo Choo TRAIN」。MATSUが発明したという“回転前のポップ”を受け継いだ黒木啓司を先頭に、全員でロールダンスを踊ったEXILEは、15人で駆け抜けた青春の日々にピリオドを打ち、新たな一歩を踏み出したのだった。

関連記事