木村拓哉のライブ映像作品『TAKUYA KIMURA Live Tour 2022 Next Destination』が8月3日に発売される。

　今年2月から3月にかけて、アルバム『Next Destination』を携えたワンマンツアーを開催した木村。本作には、3月6日に神奈川・ぴあアリーナMMで行われた最終公演の映像が収録されている。ライブの軸になっているのは、山下達郎、真島昌利、糸井重里、Creepy Nuts、鈴木京香、平井 大、Kj（Dragon Ash）、MAN WITH A MISSION、明石家さんま、BEGINといった面々が参加した同アルバムの収録曲。オーセンティックなロックナンバーを中心にヒップホップ、ミクスチャーなど幅広い音楽性をたたえた楽曲は、ステージの上でも華やかなエンターテインメント性を発揮。深みを増したボーカル、稀代のスター性に裏打ちされたパフォーマンスを含め、“2022年の木村拓哉”をリアルに追体験できる映像作品に仕上がっている。もちろん「青いイナズマ」「夜空ノムコウ」などのナンバーも大きな見どころだ。

　通常盤にはライブ本編に加え、ボーナストラック「Beautiful Things(GYAO! Music Video)」「OFF THE RIP(GYAO! Music Video)」、各会場（神戸、広島、名古屋）限定のジャンクション映像が特典として収録。また初回盤には、ライブの裏側に密着したメイキング映像、通常のセットリストに追加された「Triangle」、ダブルアンコールの「がんばりましょう」のライブ映像が収められている。本稿では、初回盤に収録されるメイキング映像をもとに、木村がどんな思いでこのツアーに挑んだのかを紐解いてみたい。

　木村にとって2年ぶり、2度目となった本ツアー。「前回よりも多くのお客様とともに時間を過ごしたい」という本人の希望によって、全国4カ所、全8公演のアリーナツアーが実現し、ソロアーティストとしてスケールアップを果たした。同時にこのツアーは、“ウィズコロナ時代のライブの在り方”を模索し、提示するというミッションも課せられていた。それを象徴しているのが、アルバムの題名でもあり、ツアータイトルでもある『Next Destination』だ。

　メイキング映像の冒頭、このタイトルの意味を尋ねられた木村は、「この2年間過ごしているなかで、“元通り”という感覚が変化してきて」「次の目的地を持ったほうが、ひょっとしたらいいのかなっていう頭になっていって。そんな指針を持ったという感じですね」とコメント。アルバムとツアーに、未来のビジョンを示すという意図があったことを明かしている。

　また、“マスク着用・声出し禁止”の状況についても言及。「ステージ上で歓声を受けられないのはタフな状況」という認識を持ちつつ、「そのタフさが覚悟を決めさせてくれた」と言葉を重ねた。ライブの核となるのは、国内外のトップミュージシャンたちによる質の高いバンドサウンド。「会場に来てくれる人への伝わり方は、絶対に人が出している音のほうが盛り上がる」「リハーサルを重ねる時期はじつは苦しんだけど、その時期を一緒に過ごすには最適な楽しいメンバーが揃った」という言葉からも、生の音をダイレクトに届けることへこだわりが伝わってきた。

　演出・振付を担当したkazuki（s**t kingz）へのインタビューも印象的だった。ライブで披露する楽曲に対し、木村自身が「こう見せたい」というイメージを明確に持っていて、前回のツアー以上に綿密なコミュニケーションを取りながらステージを作り上げたという。木村も「彼がカッコいいと思うことは自分もカッコいいと思う。すごく楽ですね」と全幅の信頼を寄せているようだ。

　その他、衣装のスタイリング（特にダンサーの衣装にこだわったとか）、ダンサーやコーラスとのやり取り、舞台美術、映像に関することなど、貴重なエピソードが満載。ツアー全体のテーマ性や世界観、各セクションにおけるディテールまで、木村自身の思い、意図がしっかり込められていることがはっきりと伝わってくる。本人は「みんなのセンス、みなさんのテクニック、プロフェッショナルが会場に集結している感じ。僕はそのなかで遊ばせてもらってる」と謙虚に語っているが、木村のステージにかける思い、オーディエンスを楽しませたいという欲望が最大のエンジンになっているのは間違いないだろう。