また、idom自身が監督を務めたMVも魅力的だ。

　建物の形状や横断歩道などを幾何学的に取り入れたカットや、idomが街に佇むカットなどを中心に作られた、シンプルでありながら目を引く映像。淡く柔らかい色味も相まって、歌詞にあるやるせなさだけでない、フラットな安定感を持ち合わせているように感じられる。孤独感の漂っていた前半に対し、後半ではHikaru Takakamoが登場し、雰囲気を大きく変化させる。車で海に移動するという開放感のあるシーンののちには2人で砂浜を駆け回り笑みをこぼすシーンが続くなど、2人の作る爽やかな温度感が明るさを演出。一作のMVの中で孤独感の有無を精巧に描き出している。

　憂鬱な仕事や学校の帰り道はもちろん、過去の思い出や何気ない日常など、リスナーが思い浮かべる出来事や日々にマッチする楽曲、「帰り路」。歌詞と映像で描く感情の幅、シンプルなトラック、フラットに歌い紡ぐリアルな詞が、リスナーのありのままの感情にも共鳴し、心をほぐす存在になっているのではないだろうか。

　現在音楽活動歴1年半だというidom。今後、どのような楽曲を作り上げ、多彩な能力を発揮していくのか期待が高まる。

■リリース情報
1st EP『i’s』
配信中

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