2021年4月期は『大豆田とわ子と三人の元夫』（フジテレビ系）や、『リコカツ』（TBS系）、『着飾る恋には理由があって』（TBS系）など、主題歌とともに話題になるドラマが多かったが、今期もバリエーション豊富なドラマが各局で放送される。本稿では7月期注目のドラマ主題歌とその傾向について紹介したい。

yama「Sleepless Night」（フジテレビ系ドラマ『ナイト・ドクター』オリジナルナンバー）

　フジテレビ系で放送中の月9ドラマ『ナイト・ドクター』は“夜間救急医”がテーマの医療ドラマ。波瑠が主演を務め、知られざる夜の病院の実態を通して命の重さ、そして命を救う医療従事者のリアルを描くシリアスな作品だ。『ナイト・ドクター』はこれまでのドラマにおける“主題歌”という概念を覆す、チャレンジングな試みでも話題となっている。全話を通して流れるのではなく、各話によって異なる楽曲がドラマ中に流れる“オリジナルナンバー”をyama、eill、琴音、Tani Yuuki、三浦風雅の5組のアーティストが手掛ける。その中でも注目したいのは昨年春にリリースした「春を告げる」が現在もロングヒット中のyama。新曲「Sleepless Night」は、生命をテーマに鳴る痛切なサウンドにyamaのしめやかな歌唱が溶け合うように響くナンバー。yamaのこれまでの楽曲と比べてグッと抑えたテンポであることも相まって、新しいyamaの一面を感じる楽曲に仕上がっている。作詞は「春を告げる」を手掛けたくじら、作曲は数々のJ-POPアーティストへの楽曲提供やプロデュースを手掛ける田中隼人だ。『ナイト・ドクター』の世界にそっと寄り添うyamaの新機軸な1曲に注目したい。

Ado「夜のピエロ」（MBSほか放送『初情事まであと1時間』オープニング主題歌）

　「うっせぇわ」が今年最大級のヒットを記録中のAdo。7月2日現在、「うっせぇわ」のミュージックビデオのYouTube再生回数は1.5億回を突破し、まさに飛ぶ鳥を落とす勢い。そんなAdoの新曲「夜のピエロ」が、ドラマ『初情事まであと1時間』のオープニング主題歌に抜擢。『初情事まであと1時間』は「恋人たちが初めて結ばれるまでの直前1時間を捉えた究極の恋愛オムニバスドラマ」という大人なテイストの作品になっている。そんなアダルティな物語の始まりに華を添える「夜のピエロ」は、都会的な香りのするキラキラと煌びやかなダンスチューン。Adoの一度聞いたら忘れられない歌声がこれまで以上に聴く者を虜にする。