スマホ時代の音楽マーケティングでは、清水翔太やリリカルスクールでの実施など、スマホ画面サイズの“縦型MV”が話題となっている。

　そんななか、10月25日に発売される、ミオヤマザキ2ndフルアルバム『choice』収録曲「裏アカ」の“縦型MV”が注目を集めている。ミディアムにキャッチーなロックサウンドに乗せて、Twitterにおける“裏アカ”をテーマとした楽曲だ。

　“裏アカ”とは、本来のアカウントとは別に設けた裏アカウントを指すネットスラング用語である。匿名で、特定の人へ向けて悪口を書いたり、欲望のはけ口として抑えきれない衝動をブチまけることを目的とする（※鍵付きの場合もある）。昨今、芸能人の“裏アカ”流出が話題となっているが、今の若い子は誰もが当たり前のように持っていると言われている。

　メディアにはほとんど登場せずに、アプリでのオリジナル・ゲームやTwitterドラマといったSNS施策を積極的に展開するスマホ・ネイティブなロックバンド、ミオヤマザキ。彼女たちの作品が“縦型MV”に帰結するのは必然といえるだろう。縦型ミュージックビデオの面白さとは、日常であるスマホの画面がウイルスにハックされるがごとく思いもよらない動きをはじめる、いわば、現実に虚構である非日常が突然入り込んでくるカオス感が魅力だ。

　楽曲では、＜「今日逢える？」「無理だ、ごめん」、「今何してる？」「悪い、寝ちゃってた」、男の寝てたはほぼ嘘 そんなに早く寝るわけねぇだろ！！！＞と、男女のやり取りを描きながら、＜男はいいよね 性欲貯まれば デリヘルもホテヘルも 正当化出来て 一方こちとら毎月一回 生理来たり 遅れたり「ヤリマン」て言われたり＞など、「裏アカ」で吐き出されるメッセージをリアルに表現している。

　サビで合唱される＜「あーつら。しんど。もうやだ。死ねよ。」＞のフレーズが持つ力強さも闇が深い。冒頭でコメントするキュートな女子たちの笑顔とは裏腹に……。

　「裏アカ」では、日々ストレスを抱えた人間関係の複雑さが描かれている。SNSで誰もが繋がれる社会とは、いわば相互管理社会であり、息苦しさを生むということか。

＜私にとって裏アカは正義＞

　ミオヤマザキは、誰もが言いたいけれど言えなかった真実を歌にする。

　心に潜む様々な感情を自分の言葉でリアルに表現し続けるミオヤマザキ。まさに、時代を映し出す鏡のようなポップミュージックの数々が2ndフルアルバム『choice』には収められている。

■ふくりゅう
音楽コンシェルジュ。Yahoo!ニュース、J-WAVE、ミュージックマガジン、Spotify、KKBOX、音楽主義などで書いたり喋ったり選曲したり考えたり。著書は『ソーシャルネットワーク革命がみるみるわかる本』（ダイヤモンド社）。
Twitter

■リリース情報
『choice』
発売：2017年10月25日（水）
価格：CD　￥3,200（tax.in）通常盤のみ1種リリース
※初回仕様：特製紙ジャケット

＜収録内容＞
1.ピーーーーーーーー
2.他力自分本位症
3.裏アカ
4.鋲心全壊ガール
5.ノイズ　（TVアニメ「地獄少女 宵伽」オープニングテーマ）
6.リフレイン　
7.LINK
8.0721
9.セツナグ
10.斉藤さん
11.アーティスト
12.最愛
13.愛されたいよ。
 
＜ダウンロード＞
アルバムまとめ売り　2,100円（税込）
＜サブスクリプション＞
各ストアで10月25日より配信開始

■ライブ情報
『ミオヤマザキワンマンスレツアー「Contagion」』
10月29日（日）柏PALOOZA
11月4日（土）仙台MACANA
11月11日（土）北海道Sound lab mole
11月19日（日）金沢vanvan V4
11月23日（祝・木）大阪UNIVERSE
11月25日（土）福岡DRUM Be-1
11月26日（日）岡山CRAZY MAMA 2nd room
12月1日（金）名古屋E.L.L
12月10日（日）-FINAL-渋谷TSUTAYA O-EAST

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