GLIM SPANKY『Next One』インタビュー
GLIM SPANKYが「怒りをくれよ」にこめた思い「時代を変える“違和感”を世間に投じられたら」
「年上の人にウケるっていうのは不思議でしょうがない」(松尾レミ)
ーーGLIM SPANKYに反応している年上の世代も、フジロックのお客さんも、GLIM SPANKYがルーツにしているような60年代・70年代の洋楽ロックどっぷりな人たちではないと思うんですね。現行のロックや、ハウスやヒップホップをあたりまえに好きな人たちだと思うんです。僕もそうだし。
松尾:ああ、なるほど。
ーーだから、その人たちがGLIM SPANKYの何に惹かれているのかを解き明かせれば、そこへの対応もできるし、そこ以外へも向き合うことができるんじゃないかなと。
亀本:うん……なんなんだろう?
松尾:なんなんだろうね? わかんないね。だから私、年上の人にウケるっていうのも、「ブルースだねえ」とか言ってくれるのも、不思議でしょうがなくて。それが理解できないんです。私、そんなにブルースを聴いて育ったわけではないし、自分でもブルースをやっているとは思ってないし。私は普通にBUMP OF CHICKENを聴いて、こういうロックをやってるだけなんですけど。
亀本:僕もGLAYから入ったしね。
ーーバンプって今プロでやってる後続のバンドたちへの影響力、すごいですよ。でも、さっきおっしゃったように、今の日本のまんなかにいるようなロックは、自分たちと違うものだと感じるわけでしょ。
松尾:そうですよね。……なんだろうなあ。だからぶっちゃけ、日本のメインストリームにいるバンドと自分たちは違うんだな、というのは思うんですけど。ただ、なんでBUMP OF CHICKENが好きだったのかというと、藤原(基央)さんのギターに、すごくウエストコースト・ロックとか、カントリーとか、ブルースを感じていたんです。このバンドはルーツ・ミュージックをちゃんと通ってきてるんだな、って思ったのが理由だったんです。
そういうことを……たとえばBUMP OF CHICKENと同時期にホワイト・ストライプスにハマったんですけど、ホワイト・ストライプスに何を感じたかというと、私はすごく新しいものとして捉えましたけど、その新しい音の中に、ルーツから脈々と受け継がれてきた血が流れているからだと思っていて。それが、日本のロックのメインストリームにいるバンドからは、なかなか見つけづらくて。でも流行っている理由は絶対にあるし、人に届いている理由は絶対にあるから、そこをちゃんと解明した上で、なんて言うんですかね、時代を変える一石を……違和感を、世間に投じられたらいいなあと。そのきっかけに『ONE PIECE』がなったらいいな、と思っていますね。
亀本:そうだね。これがどう受け取られるかですね。
「『これが日本語でやれてるんだから、絶対いいでしょ』って思ってるところはある」(亀本寛貴)
ーー「もっと届けたい」「もっと伝えたい」という意志をすごく感じるアルバムですよね。
松尾:もっと、ひとつ飛び抜けたいんですよね。GLIM SPANKYがみんなのものになるまでに、1個壁があると思っていて。たとえば日本武道館をやれたからといって、みんなのものになれたわけではないと思うんです。そこの1個上を飛び抜けて、メインストリームにちゃんと行けた時が、本当の意味での、みんなに届くフィールドに行けたということだというような気がしていて。まだまだデビューしたばかりで、その景色は見たことがないんですけど、それを予想して、ちゃんとファースト、セカンド、サードと、核がブレないメッセージやサウンドを持っていながらも、ちゃんと受け入れられる音を作っていけば、自分の望むところが少しでも見えるような気がして。それを信じて今、「ロックはロックであるべき」という音を作っています。
ーー音もだし、歌詞の書き方もゴツゴツしているというか、耳にひっかかる強い言葉がよく出てきますよね。「これがロックでしょ」という定義みたいなものってあります?
松尾:私的には、自分の中のロックの答えは決まっていて……それは昔からなんですけど、どれだけ批判的なことを言ったり、攻撃的な言葉を使ったり、攻撃的な音だったとしても、歌のどこかに愛や平和や希望があるのがロックだと私は思っていて。その愛や平和や希望が、日常生活で満たされないから、怒りがあって、それを歌うから攻撃的なものになるんだと思いますけど。どの曲もそういう気持ちで書いていますね。たとえば「怒りをくれよ」は、自分がもっとでかいところに行きたいから、もっとみんなを幸せにしたいから、そのハードルを超えるために私にもっと怒りをくれ、だから次のステップに行けるんだ、という希望を、そこに見出していたりとか。どこかに自由があって、実現したいという気持ちがあって、そしてハングリーである。それが私の中でのロックです。だからそういうふうな歌詞を、一貫して書いています。
亀本:うん。実は、日本語でやるのがすごい難しくて。「これ英語でやったらラクにかっこよくできるのにな」っていつも思うんですけど、やっぱり日本語でやったほうが伝わるし、おもしろいし……って思えることが、「これなら絶対通用するだろう」っていう自信になってるというか。「これが日本語でやれてるんだから、絶対いいでしょ」って思ってるところはありますね。僕、デモを作ってて、「うわ、このバックだと日本語でメロディつけづらいだろうな、申し訳ない」と思いながらレミさんにデモを渡しても、すごい歌がのって返ってきたりするので。「これはすごい」とか思いますから、作っていて。
(取材・文=兵庫慎司)
■リリース情報
セカンド・アルバム『Next One』
発売:7月20日(水)
・iTunes 『Next One』ダウンロードURL
・レコチョク 「怒りをくれよ」
初回盤:CD+DVD(¥3700+税)
通常盤:CD(¥2700+税)
<収録曲>
1.NEXT ONE(ブラインドサッカー日本代表公式ソング)
2.怒りをくれよ(7月23日(土)公開 映画『ONE PIECE FILM GOLD』主題歌)
3.闇に目を凝らせば
4.grand port
5.時代のヒーロー(福田雄一監督Amazonオリジナルドラマ『宇宙の仕事』主題歌)
6.話をしよう(高橋留美子原作 NHK Eテレアニメ「境界のRINNE」第2シリーズエンディングテーマ)
7.NIGHT LAN DOT
8.いざメキシコへ
9.風に唄えば
10.ワイルド・サイドを行け
<DVD収録内容>
『ワイルド・サイドを行け』ツアー(2016.4.16恵比寿LIQUID ROOM)ライブ映像約50分収録予定
ワイルド・サイドを行け
褒めろよ
リアル鬼ごっこ
ダミーロックーとブルース
夜明けのフォーク
BOYS&GIRLS
時代のヒーロー
NEXT ONE
太陽を目指せ
大人になったら
話をしよう
CD購入先着特典『ONE PIECE スペシャル黄金スリーブケース』
※一部対象外の店舗、WEBストアもあり
『Next One』発売記念スペシャル・アコースティックライブ開催
<東京>
2016年7月20日(水)20:00~/タワーレコード新宿店
<名古屋>
2016年8月6日(土)16:00~/名古屋パルコ
<大阪>
2016年8月7日(日)16:00~/NU茶屋町
<札幌>
2016年8月21日(日)15:00~/パセオ センター B1F テルミヌス広場
<チケット先行予約スケジュール>
CD封入先行:7月20日(水)12:00~7月31日(日)23:00(受付方式:先着)
■ワンマンライブ
『Velvet Theater 2016』
会場:東京キネマ倶楽部(SOLD OUT)
7月9日(土)17:00開場/18:00開演
・AbemaTVにて全編生中継
■イベント情報
7月24日(日)未確認フェス3次@O-WEST
7月28日(木)SHE'S Major Debut Single「Morning Glow」 RELEASE TOUR~The Everglow -chapter.1-~(大阪)@梅田クアトロ
8月8日(月)テレビ朝日・六本木ヒルズ夏祭り2016『SUMMER STATION』(東京)
8月13日(土)「TREASURE05X」(愛知)
8月18日(木)「音霊 OTODAMA SEA STUDIO 2016」(神奈川)(アコースティック2人編成)
8月27日(土)「SPACE SHOWER SWEET LOVE SHOWER 2016」フォレストステージ(山梨)
8月28日(日)「WORLD HAPPINESS 2016」(東京)
9月3日(土)「Slow LIVE’16 in 池上本門寺」(アコースティック2人編成)
9月4日(日)「Sunset Live 2016」
■ツアー情報
『Next One TOUR 2016』
9月22日(祝・木)長野 CLUB JUNK BOX
9月24日(土)京都磔磔
9月25日(日)高松TOONICE
9月30日(金)福岡the voodoo lounge
10月1日(土)岡山ペパーランド
10月6日(木)金沢vanvan V4
10月7日(金)新潟CLUB RIVERST
10月10日(祝・月)札幌BESSIE HALL
10月14日(金)仙台MACANA
10月16日(日)広島CAVE-BE
10月22日(土)梅田umeda AKASO
10月28日(金)名古屋BOTTOM LINE
10月30日(日)新木場STUDIO COAST