" ガガの元祖"がロックの殿堂に殴り込み――ユーリズミックス一夜限りの再始動
ビートルズのデビュー50周年を記念して行われるトリビュートイベント、「The Night That Changed America: A Grammy Salute to the Beatles」(1月27日)に於いて、1980年代にヒット曲を生み出した、ユーリズミックスが復活する。このイベントはグラミー賞に関連したイベントで、受賞者経験のあるアーティストとして招集されたということだろう。
ユーリズミックスは1990年以降、何度か解散してアルバムやベストアルバムをリリースしているが、今回は一夜限りの復活という形のようだ。
近年では、ボーカルのアニー・レノックスは、『ロード・オブ・ザ・リング』の劇中曲を歌いグラミーを獲得したり、クリスマス・アルバムを出すなどサウンド面よりも「歌」を全面に押し出した活動を行っている。また相方のデイヴ・スチュワートはPlatinum Weirdとしてゆるやかなロックサウンドを展開していたり、ミック・ジャガーなどとのバンドSuperheavyで大人の「ミクスチャーサウンド」の制作、また幅広いプロデュース業をおこなっている。
本人たちとしても「ユーリズミックス」は過去のものなのだろう。それだけに、今回の再結成、しかも「ビートルズ・トリビュート」の出演者としての復活、というのが、少々違和感がある。
かつてのきらびやかなユーリズミックスサウンドは素晴らしいものだった。ユーリズミックスといえば、やはり1980年代にヒットした「Sweet Dreams」や「There Must be Angel」などのフックのあるエレクトリックな楽曲を思い出す人も多いはず。現在音楽活動を行う若いアーティストにとって、彼らの音楽性やPVに見られる奇抜なスタイルは、影響が大きかったのではないだろうか。特にレディ・ガガの音楽やスタイルにはその面影がしっかりと残っている。こんな元祖レディ・ガガが「ビートルズ・トリビュート」に参加する。ロックの殿堂に「20年後の尖ったポップミュージック」が乗り込んでいく。こんな構図だと考えると興味深い。他にもグレース・ジョーンズ等、音楽的にもファッション的にも「尖っていた」アーティストが再評価されていく機会があれば、ガガのようなアーティストもいずれは殿堂入りするのではないだろうか?
今回の「ビートルズ・トリビュート」というハレの場で、今、ユーリズミックスがどのようなカバーを歌うのか。今のところ選曲は未定ということだ。日本でもwowowの放送が決定しているので、気になる方はチェックしてみてはいかがだろうか。
(文=編集部)