青井サンマ氏が語る、歌手としての嵐(後編)

嵐のボーカルは“おもしろさ”も魅力のうち? メンバーそれぞれの特徴を徹底解説

大野智

 「アイドルだから」という甘やかしを取っ払っても聞けるくらい上手。テクニックも積み重ねているのですが、決してひけらかさないので、“ドヤ感”がありません。それゆえに、ソロ曲だと少し物足りなさを感じるときも。他メンバーはアイドルとしての個性をバンと打ち出してくるのですが、大野くんはあくまでも楽曲の中に収まろうとするんです。コンサートにおいても、例えば松本くんは過剰なほどサービスをするので「キャー」とか「何それ!」とか大騒ぎしてしまうんですが、大野くんはそうしたツッコミどころがなく、「いいステージを見せていただきました」という感じで終わってしまって……。それはすごいことなんですけどね。

 ただ、次のアルバムでは毛色を変えるそうなので、楽しみです。作曲者には『けいおん!』の「放課後ティータイム」を作った川口進さんが名を連ねています。曲もそうですが、コンサートで披露するダンスも、これまでと違う雰囲気になるのではと期待しています。

おすすめ楽曲:「MONSTER」(アルバム『僕の見ている風景』収録)

 Bメロでソロパートがあり、その最後のフレーズが「MONSTER」なんですが、大野くんは語尾を伸ばさず「モーンスタッ」と切っている。伸ばしてしまうと、「曲名です!」という感じで恥ずかしくなると思うのですが、語尾を切ることで、曲にキレ味をつけている。そのテクニックがすごくうまいなあ、と思います。

櫻井翔

 昔は力んだ「ヴォー!」と形容できるような歌声で、嵐のユニゾンに力強さを与えていたのですが、2009年ごろから朗らかで甘いテイストを入れるようになってきました。どちらもおもしろい(笑)。あまーいときは、「なぜそんな歌い方を!?」と恥ずかしくなることもあるのですが、そこがまたいいんです。力強い歌声が楽しめるのは「PIKA☆NCHI」で、甘い感じなのは、「迷宮ラブソング」の2番のソロパート。櫻井くんは全体的にスペックの高い人なので、歌唱面ではツッコミどころがあるというか、パーフェクトではないところが愛嬌になっているのだと思います。

おすすめ楽曲:「T.A.B.O.O」(アルバム『僕の見ている風景』収録)

 ちょっとエッチな感じの曲なんですが、力強くて、なおかつおもしろいです(笑)。サクラップだと「Hip Pop Boogie」(アルバム『Dream "A" live』収録)がおすすめです。

好きな組み合わせ

大野・櫻井/二宮・相葉

 どちらも、足りないところを補い合える組み合わせです。大野くんと櫻井くんは、大野くんのまともな歌い方に、櫻井くんの個性や力強さなどの“味”が追加される感じ。おすすめは「Happiness」(アルバム『Dream "A" live』収録)の1番のAメロです。

 二宮くんと相葉くんは、二宮くんのアーティスト的な歌い方に、相葉くんのアイドルっぽさが加わって、マイルドに、かつ深みを増した感じになります。表情もありつつ、主張しすぎないというか。おすすめは「Calling」(アルバム『LOVE』収録)の1番のAメロです。

 ニューアルバム『LOVE』のリリースを10月23日に控える嵐。ひとりひとりの個性を知った上で聞くと、楽しみ方の幅も広がりそうだ。

(取材・文=編集部)

■青井サンマ
青井サンマ(あおい•さんま)
あおいさんま○ヲタ歴6年のゆるくぬるい嵐ヲタ。青井サンマの名前は、嵐メンバーの最初の文字(o,sa,a,ni,ma)を並べ変えたもの。独断解説「嵐の聴き方」はTwitterまとめサイト『Togetter』で100万viewを突破。ウェブメディア『cakes』で「嵐の聴きかた」を連載。著書に『嵐ヲタ絶好調超!!!!』(大和書房)。Twitter

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