フジテレビが「AIセンター」新設、生成AIでドラマ制作を強化 2027年までに全ドラマで活用体制へ

 フジテレビジョンが、ドラマ制作における生成AIの活用を本格化させていることが発表された。湾岸スタジオに実験場「AI Sandbox」を設置し、現在放送中の『救命病棟24時』をはじめ複数のドラマで実際に運用している。

 同社は7月の組織変更でデジタル戦略統括室内に「AIセンター」を新設。その下に設置された「AI Sandbox」は、第1スタジオ(ドラマ・映画制作センター)、テックアートデザイン局、AI関連企業のANDENTなどで構成するプロジェクトチームが9月より運用している。ドラマ制作に携わるディレクターやプロデューサー、技術スタッフが、外部のAIプロデューサーやAIデザイナーとともに、実際の制作を通じて活用方法を検証している。

 フジテレビは現在、地上波ゴールデン・プライム帯の連続ドラマを年間16本制作している。撮影を取り巻く環境の変化に対応するため、撮影前の準備段階から脚本や目指す映像を共有し、実写撮影、VFX、CG、生成AIなどの中から作品やシーンに適した手法を選ぶ方針だ。生成AIを活用した一部の映像制作工程では、従来の手法と比べて作業工数を最大70〜80%削減できることを確認したという。なお、この数値は特定工程の検証結果であり、作品全体の制作費の削減率や、制作工程全体の平均削減率を示すものではないとしている。

 現在放送中の『救命病棟24時』では、撮影前に監督が思い描く映像を生成AIで可視化し、制作・技術スタッフで共有。完成イメージを事前にすり合わせたうえで撮影方法を検討し、従来の映像制作技術、VFX、AIなどを使い分けている。AIは医療シーンの細かな映像処理や、実際の撮影だけでは実現が難しい事故現場の表現などに活用されており、第1話で描かれた爆発事故シーンでは、空撮自体がAIで生成した架空の風景で、そこにさらに煙を合成しているという。

 今後は2026年10月期から毎クール1本以上のドラマを「AI強化枠」に設定し、「AI Sandbox」で実際の作品制作に挑戦する。2027年10月をめどに、フジテレビが制作するすべてのドラマで、作品やシーンに応じてAIを活用できる体制を整える予定。その後はフジ・メディア・ホールディングス(FMH)の映像関連企業にも展開し、2029年度にはFMH全体で国内トップベンダーレベルのAI活用機能を保有することを目指すとしている。

■番組情報
『救命病棟24時』
放送:毎週月曜 21時〜21時54分
出演:江口洋介、松嶋菜々子、木戸大聖、萩原利久、白石聖/宮野真守/八嶋智人、沢村一樹

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