35歳以上の恋はなぜこんなにも生々しく面白いのか 『ラブ トランジット 35+』過去シリーズとの“決定的な違い”
めくれていくトラウマから見える現実
第1話から第3話では、ほとんどの参加者ののXと過去が明かされた。金銭トラブルでの別れ、何気ない言葉で傷ついた気持ち……中には心も身体も交わることのなかった、まるで付き合っていたのかさえわからないような希薄な関係も。どうやら第4話以降に過去が明かされていくカップルの中には、性行為まわりに問題を抱えていそうで、これまたなんともリアルな悩みだ。余談ではあるが、『35+』を視聴中、ED治療薬のCMが流れてきて新鮮に感じたと同時に、もっと男性の性の悩みも前向きなものとして社会に可視化されたらいいのに、と思えた。
さて興味深いのは、決して軽くない別れの原因を抱えているにもかかわらず、それでもほとんどの参加者がXとの復縁を希望していることだ。年齢を重ねるほど、一から誰かと関係を築くより、知っている相手との関係を維持したり修復したりする方向に向かいたくなる気持ちはよくわかる。人と人との繋がりを維持するのが難しく、信頼関係が薄れがちないまだからこそ、そうした関係修復のプロセスをじっくり見守りたいものだ。とはいえ、彼らが抱える問題はあまりにも大きい。復縁も、そう簡単にはいかないし、気持ちと現実の照らし合わせを余儀なくされる。一喜一憂しつつも、恋愛が“楽しい”だけでいられた時間なんて、人生のうちほんのちょっぴりしかなかったのだな、と『35+』を観ていると冷静になってしまう。
それでも、年齢を丁寧に重ねている人の美しさや、どんな逆境でも子どものために強く乗り越えてきた参加者の体験談を聞くと、生きることに対して鼓舞される。「食事」を巡って元妻との関係にトラウマを抱え、涙を流す男性のエピソードからも、何が人の心に大きな傷を残すかはわからないのだと痛感させられる。いろんな人がいる、という当たり前のことに視聴者として向き合うことは、どんな恋リアにも共通する醍醐味だが、『35+』はその年齢だからこそのフレーバーに溢れている。
そこそこ生きていたら、それなりに色々ある。その“色々”を抱えたまま、それでももう一度誰かと向き合おうとするから、『35+』の恋はこんなにもヒリヒリするのだろう。10月29日(木)20時からは第4話〜第6話が配信される。参加者のまだ明かされていない過去や、それぞれが出す答えを、これからも見届けていきたい。