ホロライブ・ReGLOSS『X-ReCHORD』開催を機に振り返る、カバー社とVR/ARの歴史
ホロアース・VRChat・MMDモデルやモーションデータまで カバーのさまざまな挑戦
ここで一度、VR、AR、XRの違いを整理してまとめてみよう。
VRは「Virtual Reality」の略称で、主にCGで構成された3D空間をVRヘッドセットなどの専用ゴーグルを装着して見て楽しんだり、コントローラーやトラッキングデバイスを用いて空間や世界に入り込む体験ができる。
ARは「Augmented Reality」の略称で、拡張現実と表現されることもある。これは実際の風景そのものにさまざまな情報を加えて見せる技術で、スマートフォンやタブレットのカメラ、ARグラスなどを通して、現実空間に情報を上乗せする技術である。『ポケモンGO』がわかりやすい例だ。
XRはVRやAR、それらを組み合わせた「MR(Mixed Reality)」を含む技術の総称として用いられる。なお、昨今は上記の技術と区別するために先頭を小文字にした「xR」と表記することもある。
カバーは、アプリ以外でもさまざまな形でこれらの事業に挑んできた 。ホロライブファンにも大きな注目を集めていた事例でいえば、現在は撤退してしまった『ホロアース』ではないだろうか。
ホロアースは、ホロライブのVTuberとファンがバーチャル空間を一緒に体験できることを目標にしたメタバースプロジェクトで、『Minecraft』や『ARK: Survival Evolved』などのように、マップの探索やミッションのクリアを通じてさまざまなアイテムをゲットできるサンドボックスゲーム要素、ファッションを購入してアバターのカスタマイズを楽しめる要素にくわえて、タレントによるミニライブイベントの開催など、数年単位の計画を見越した運営が予告・準備されていた。
2025年4月に正式リリースされると、アバター作成や他ユーザーの交流が行われ、サバイバルゲーム要素やアバター用アイテムが購入できるマーケットプレイス機能などが展開されていたが、2026年6月28日にわずか1年と少しで終了してしまった。
カバーがサービス終了と同時期に公開した決算報告では、プロジェクトで得られた技術的成果を既存事業へ集約し、タレント活動の支援や技術進化につなげていくと発表している。このプロジェクトで培われた知見と技術が、後述するライブでの演出部分につながるなど、他事業で活かされている部分は確かにありそうだ。ファンにとって、そしてステークホルダーにとっても注目すべきポイントだろう。
VR領域における展開でいえば、カバー社だけでなくタレントが表に立つアクションもある。2023年にハコス・ベールズがVRChatのバーチャル・ナビゲーターとしてアンバサダーを務めており、2024年11月には当時のホロライブ、hololive DEV_IS、ホロライブEN、ホロライブIDによる4グループ合同企画「Justice's Haunted Investigation」がVRChatでおこなわれ、さらに2025年7月にはイベント「ビーチで対決!ホロナツクイーン決定戦 in VRChat」も開催された。
🎲お知らせ🎲
「#ホロライブEnglish -Promise-」の #ハコス・ベールズ が、VRChat社の魅力を広げる「バーチャル・ナビゲーター」に就任決定🥳🎉今後、活動の一部をVRChatで行い、VRChatのプラットフォームとしての可能性を広めていきます✨
🔽詳細はコチラ!https://t.co/7eAQVN70we pic.twitter.com/iNfeJakJm5
— ホロライブプロダクション【公式】 (@hololivetv) October 26, 2023
2024年10月1日に活動を終了したワトソン・アメリアや2025年10月3日に活動終了した火威青は、VRChatを使った配信を積極的に行なっており、その後他のホロライブメンバーも後に続いている。ホロライブタレントが珍しくVRChat配信をしていると、シーンから注目されたことは記憶に新しい。
ReGLOSS・火威青が『VRChat』の魅力を語り尽くす プレイ歴5年超えの“大ベテラン”の超ロングインタビューをお届け
ホロライブいちの『VRChat』好き、ReGLOSS・火威青がその魅力を語り尽くす前後編のインタビュー。前編では、火威青と『VR…またこちらはあまり知られていないかもしれないが、ホロライブでは所属しているタレントの公式MMDモデルを配布しており、ダウンロードしてダンスなどのモーション適用ができるようになっている。くわえてホロライブのメンバーがミュージックビデオなどを公開した際には、MV内で披露しているダンスをモーションデータとして無料配布するケースも近年増えている。
こうした、公式による3Dモデルの配布は、VTuberシーンのなかでもホロライブ以外の大型・中堅事務所では見られない特殊なアクションである。
【お知らせ】
ホロライブ所属タレントのMMDモデルを順次公開いたします。
ライセンス規約を遵守いただき、関わる全ての人が笑顔で楽しめる二次創作活動を私たちは応援します。二次的創作ライセンス規約https://t.co/D44AQ8azoL
MMDホロライブの詳細はこちらhttps://t.co/5zGnPso1Jb#ホロライブ
— ホロライブプロダクション【公式】 (@hololivetv) November 29, 2019
「VRで開発者の人たちがキャラクターを動かすのが流行っていた」ことに注目したところから生まれたのがカバーやホロライブであることを考えると、今でも同社が「VR/AR分野を出自とした企業である」という視点や矜持を失っていないと感じられるのではないだろうか。