ホロライブ・ReGLOSS『X-ReCHORD』開催を機に振り返る、カバー社とVR/ARの歴史

 VTuber事務所「ホロライブプロダクション(以下、ホロライブ)」を運営するカバー株式会社(以下、カバー)は、2016年6月に設立され、今年でちょうど10周年を迎えた企業である。

 2017年9月にVTuber・ときのそらの活動を開始させ、その後VTuberプロダクション・ホロライブをスタート、現在では一大IP企業として成長していくわけだが、カバー自体は元々別の事業でも会社の成長を狙っていた企業である。それがVR事業だった。

 ときのそらの活動開始前、2017年2月にはHTC VIVE向けのVR卓球ゲーム『Ping Pong League』をリリースしており、その後展開するAR/VR事業、現在メイン事業として進めているVTuber事業においても、その知見は活かされている。

 VTuber事業を通してVRやARに関係する技術力をたくわえたカバーは、2026年11月29日にReGLOSS AR LIVE『X-ReCHORD』を配信サイトSPWNおよびZAIKOにて開催する予定となっている。

 今回は、カバーおよびホロライブがその事業を通じて、AR/VR分野でどのような挑戦を行なってきたかを、簡単ながらに振り返りたいと思う。大小の変化がさまざまに重なるなかで、いかにして現在のホロライブの表現が生まれたのかをまとめた。

ReGLOSS AR LIVE "X-ReCHORD" Teaser PV

設立10周年を迎えるカバー、その原点はVR事業だった 

 カバーは2016年6月13日に設立されたが、当時を振り返った代表取締役社長CEO・谷郷は、「インターネットとコンテンツを掛け合わせるようなビジネスを、いつかやってみたい」と一念発起し、やりたいことをやろうと進めたのがXR領域における起業だったという。

 2015年~16年当時、国内では投資資金が流入していなかった一方で、海外ではすでにVR領域専門で投資するファンドがあった。谷郷は投資家経由でさまざまな人物とコミュニケーションを取っていくなかで、VR卓球ゲーム『Ping Pong League』を開発、リリースすることとなる。

 その後、谷郷は自らが手掛けたVTuber事業をキャラクタービジネスへとつなげることを着想し、後々の事業展開へとつなげていく。

「当時VRで開発者の人たちがキャラクターを動かすのが流行っていたり、自分たちもVRならではのキャラクターに会えるようなコンテンツは面白いと思っていて、ゲームとは別に細々と開発を続けていました」
(参考:「ホロライブ」のビジョンとこれから――Tokyo XR Startups出身起業家インタビュー〈第一回:カバー株式会社CEO 谷郷 元昭氏〉)

 2017年9月にときのそらがデビューしたあと、同年12月21日にカバーが情報公開したのは、スマートフォン向けアプリ『hololive』だった。当時は“キャラクターに会えるライブ視聴アプリ”として打ち出されており、現実空間にキャラクターをAR投影して写真や動画を撮影できたり、VRデバイスでキャラクターの3DCGを操作して配信ができると紹介されていた。当時のTwitter(現:X)での投稿も、このような内容の投稿を行っている。

 その後の展開についてカバーは、「ゲームやアニメのキャラクター、バーチャルアイドルによるライブ配信を随時追加していく」としていたが、2018年4月5日にスマートフォンでVTuberに“なれる”アプリとしてリニューアルしている。この発表時に専属VTuberのオーディションを開催することも同じく公開しており、その際に応募してきた面々が後にホロライブの一員としてデビューすることになる。

 2019年12月にはホロライブ所属のタレントといつでも会えるスマートフォンアプリ『ホロリー』をリリース。有料での衣装販売も行うなど、スマートフォンのなかでタレントを映し出してファンが自由に楽しんだり、もしくは気軽にVTuberになろうという欲求(ニーズ)に応えていた。

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