『Roco Kingdom』が目指す“生き物と自然に出会う”世界 開発者に聞く「現実感」へのこだわり
2010年に中国でサービスを開始し、16年にわたって親しまれてきた『Roco Kingdom(ロコキングダム)』。中国では、子どもの頃から同作に親しんできたプレイヤーも少なくないという。そんな『Roco Kingdom』が、400種以上の「ジニ」が息づく広大なオープンワールドを舞台に、新たなモンスター収集RPGとして生まれ変わる。
長く愛されてきた世界の何を残し、何を新しくするのか。Morefun Studiosのナラティブディレクター兼ローカライズ責任者・小野(シャオ・イエ)氏の言葉からは、シリーズを受け継ぎながら、新たな世界を形づくるためのこだわりが見えてきた。
16年の思い出を受け継ぎ、ジニが息づくオープンワールドへ
――『Roco Kingdom』は、2010年に中国でサービスを開始し、シリーズ累計登録プレイヤー数は3.5億人以上にのぼります。16年にわたって親しまれてきたなかで、中国のプレイヤーにとってどのような存在になっていると感じていますか。
小野:中国のプレイヤーにとっては、思い出の詰まった作品だと思います。中国各地に、子どもの頃に『Roco Kingdom』で遊びながら育った方が大勢いるんです。本作では、新しい技術や制作手法を取り入れながら、そうした方々に当時のことをもう一度思い出してもらいたい。長年親しまれてきた『Roco Kingdom』を、新しい形で届けることを大切にしています。
――もともとブラウザゲームとして始まったシリーズですが、今回は広大なオープンワールドを冒険する作品へと大きく進化しました。そのなかでも、変わらず受け継いだものを教えてください。
小野:まず挙げたいのは「ジニ」ですね。ジニは、この世界を形づくるうえで欠かせない存在です。新しい作品でも、ジニたちが『Roco Kingdom』の世界の中で本当に生きていると感じてもらえることを大切にしました。また、ジニだけでなく、これまでのシリーズに登場してきたおなじみのNPCなども受け継いでいます。昔から親しまれてきたものを、新しいゲームの中で新しい手法や角度からもう一度表現できるよう、試行錯誤しました。
――本作では、魔法の大陸「カロシア」を舞台に、400種以上のジニと出会い、捕まえ、育てながら冒険していきます。オープンワールド化するうえで、ジニや人々をどのように描こうと考えましたか。
小野:重視したのは、世界の「現実感」です。人や生き物がオープンワールドの中でごく自然に暮らしていて、世界そのものが生き生きと感じられるようにしたいと考えました。現実でも、動物とはふとした場所で偶然出会い、触れ合ううちに少しずつその生き物のことを知っていきますよね。『Roco Kingdom』でも、世界を歩いているうちに自然とジニに出会える。そんな感覚を大事にしています。
誰もが無理なく遊べる世界へ――自然な距離感と平等な出会い
――本作では、友人と同じ世界を探索できるマルチプレイにも対応しています。ひとりでの探索とは異なる遊びを取り入れるうえで、意識したことを教えてください。
小野:一緒に遊ぶ楽しさはしっかり感じてもらいつつ、世界の中で不自然に見えない距離感にしたいと考えました。何百人、何千人ものプレイヤーが一か所に集まって生き物を捕まえていると、やはり少し現実離れして見えてしまうので。たとえば街中なら、10人や30人が一緒にいてもそれほど違和感はないと思います。一方で、野外なら数人程度のほうが自然な場合もある。3、4人で一緒に遊ぶくらいの距離感が、「この世界に本当に人がいる」と感じられるバランスではないかと思っています。
――本作では、ガチャや課金額ではなく、ジニの属性相性や編成、戦術が勝敗を左右する設計が掲げられています。こうしたゲームデザインを採用した理由を教えてください。
小野:根底にあるのは、プレイヤーの皆さんに肩ひじ張らず、無理なく遊んでいただきたいという思いです。より多くの方に、この世界を楽しんでもらいたいんですね。たとえば、ガチャを引かないとジニに出会えない仕組みだと、どうしても遊び方が限られてしまいます。そうではなく、遊んでいくなかで、誰もがさまざまなジニと出会えるようにしたい。その意味でも、私たちはプレイヤー同士が「平等」であることを非常に重視しています。
もうひとつは、先ほどお話しした「現実感」です。現実の世界では、動物に出会うためにガチャを引いたりはしませんよね。日々を過ごすなかで人と知り合い、動物と巡り合う。そうした自然な出会いも、ゲームの中で表現したいと考えています。
直訳では届かないユーモアを日本のプレイヤーへ
――小野さんは、ナラティブディレクターとローカライズ責任者を兼任されています。中国で長く展開されてきた作品を日本のプレイヤーへ届けるにあたり、特に工夫している部分を教えてください。
小野:たとえば、ジニやキャラクターの名前です。中国語の名前には、ユニークな意味が込められていたり、ひとつの言葉に複数の意味が重ねられていたりします。それをそのまま日本語に訳すと、本来の面白さが失われてしまうことがあるんです。そのため、単に言葉を置き換えるのではなく、日本語になっても、その名前に込められたユーモアが伝わるよう工夫しています。
たとえば、不思議な瞳を持ち、周りの人の頭に浮かんだものが見えるジニがいます。このジニの日本語名は「メロメ」で、「メロメロ」と「め」を組み合わせた名前です。また、毛虫のような見た目のジニは「ゲムチー」という日本語名にしました。「ケムシ」をイメージした名前で、とても小さく、お餅のように体を伸び縮みさせながら移動するジニです。こうした名前にもダジャレを取り入れています。
――言葉をそのまま置き換えるのではなく、中国語で感じられる面白さまで日本語で届けることを意識していると。
小野:そうですね。直訳することよりも、言語や環境が変わっても、もともとそこにあったユーモアまで伝わることを大切にしています。
――最後に、『Roco Kingdom』を楽しみにしている日本のプレイヤーへメッセージをお願いします。
小野:ぜひ実際に遊んで、オープンワールドの中でたくさんの人と一緒に冒険している感覚を味わってほしいです。皆さんの予想を超えるような形で楽しんでいただけたらうれしいですね。