『Galaxy Z Fold8』レビュー 1週間使ってわかった、「4:3」の大画面を持ち歩くという快適さ
Samsungの横開きタイプの折りたたみスマートフォン「Galaxy Z Fold」シリーズに、新しいモデル『Galaxy Z Fold8』が登場した。
『Galaxy Z Fold8』は、閉じた状態で約5.5インチ、開くと約7.6インチのディスプレイを使える折りたたみスマートフォン。メインディスプレイは4:3という、一般的なスマートフォンとは大きく異なるアスペクト比を採用し、スマートフォンで撮影した写真や電子書籍、漫画などを大きく表示できる。
筆者は普段、縦折りタイプの『Galaxy Z Flip7』を使っている。前回の記事では『Galaxy Z Fold8』のサイズ感を中心に、Flipユーザーから見た使い勝手について紹介したが、今回はそこからさらに踏み込み、『Galaxy Z Fold8』を約1週間、普段のスマートフォンと同じように持ち歩いて使ってみた。
写真撮影や動画視聴、電子書籍、Webブラウジング、ゲームなどを試しながら、日常のスマートフォンとして使ったときに何が便利で、どこに不便を感じたのかを紹介していきたい。
開くのは「もっと画面が欲しい」ときだけ
『Galaxy Z Fold8』を使い始めてまず感じたのは、折りたたみスマートフォンだからといって、常に本体を開いて使う必要はないということだ。
カバー画面は約5.5インチで、閉じた状態では一般的なスマートフォンより横幅が広く、例えるならパスポートに近いサイズ感。通知の確認やメッセージへの返信、SNSのチェック、地図の確認、決済などは、そのまま閉じた状態で済ませられる。
一方、Web記事をじっくり読む、撮影した写真を見返す、電子書籍を読む、動画を見るといった場面では、本体を開いた方が大画面で見やすい。この切り替えが思っていた以上に自然だった。
最初は「この作業をするなら開いて大画面にした方がいいかな」と考えることもあったが、数日使っていると、開くこと自体をほとんど意識しなくなった。通知を確認するときは閉じたまま、ニュースを読むときは開くといった具合に、やりたいことに合わせて本体の形が変わる。
「今は画面を大きくしたい」と考えてから開くというより、必要になったら自然に開いている。使い始める前に想像していたほど、「開く」という動作は面倒ではなかった。
「大きな端末」という感じがしない
本体重量は約201g。数字だけを見れば、軽量スマートフォンというわけではない。それでも実際に持ち歩いてみると、7.6インチの画面を備えた端末としてはかなり扱いやすく感じた。
閉じた状態では約9.7mmと薄く、横開きタイプのスマートフォンとしてはコンパクトにまとまっている。ポケットやバッグにも収まりやすく、普段使いのスマートフォンとして持ち歩くことに大きな抵抗はなかった。
特に印象的だったのが、開いた状態での持ちやすさだ。7.6インチのディスプレイを搭載しているため、開けば当然それなりの大きさになる。それでも重量が約201gに抑えられていることもあり、電子書籍を読んだり動画を見たりしていても、手首が疲れる感じは少なかった。
ただし、閉じた状態の画面の横幅が広いことには慣れが必要だった。筆者は普段、QWERTYキーボードを使って両手で文字を入力することが多いため、それほど困らなかったが、片手でフリック入力する場合はカバー画面の横幅が気になる。片手操作を重視する人は、一度実機を触ってみたほうがいいだろう。
4:3の7.6インチは、写真や漫画を見るときに快適
『Galaxy Z Fold8』のメインディスプレイは、開いた状態では7.6インチ、アスペクト比は4:3。一般的なスマートフォンとはかなり違う形で、いわゆる文庫本に近いサイズ感だが、この比率が写真や電子書籍とよく合う。
スマートフォンで撮影する写真は4:3で保存することが多い。『Galaxy Z Fold8』なら、写真アプリを開くだけで写真を画面いっぱいに表示でき、撮影した写真をすぐに見返すときにも、細かな部分まで確認しやすい。
また、誰かに写真を見せるときも、スマートフォン自体を手渡す必要はなく、画面を開いて手元から相手に見せるだけですぐに確認してもらえる。写真を見るために本体を開くという使い方は、1週間の使用中に何度もあった。
電子書籍との相性も良い。小説を読むときは、開いた画面に1ページを大きく表示できる。画面のサイズだけでなく、4:3という比率もあって、手に持ったときの感覚が紙の本に近い。漫画の見開きページを表示するときにも、7.6インチの画面を広く使うことができ、スマートフォンで読むときより細部を確認しやすい。
ただし、WebサイトやSNSでは少し事情が違う。4:3は縦方向の表示領域が少ないため、縦長のスマートフォンと比べると一度に表示できる情報量は減る。SNSのタイムラインを眺めたり、ニュースサイトを流し読みしたりするときには、むしろカバー画面のほうが使いやすかった。
画面を90度回転させて縦長に近い表示にすると、Webサイトを読みやすくすることができる。コンテンツによって画面の向きを変えるというテクニックは『Galaxy Z Fold8』を使う上で覚えておきたいところだ。
カメラは2眼構成 日常の撮影なら十分画質
カメラは、広角と超広角の2眼構成。どちらも5,000万画素で、望遠カメラは搭載していない。望遠がないため、遠くの被写体を大きく撮りたい場面では物足りなさを感じることもあるが、風景や料理、人物、街中のスナップといった普段の撮影で困ることはほとんどなかった。明るい場所では細部までしっかり写り、SNSへの投稿や家族・友人との写真共有にも十分使える。以下、作例として筆者が『Galaxy Z Fold8』で撮影した写真を並べておく。
実際に使っていて便利だと感じたのは、写真を撮った後の確認だ。『Galaxy Z Fold8』のメインディスプレイは4:3なので、同じ4:3で撮影した写真を画面いっぱいに表示できる。撮影した写真を開けば、ズームしなくても細かな部分まで確認しやすく、ピントが合っているかをその場でチェックできる。
写真を撮ったあと、本体を開いて大きな画面で確認する。この使い方が思っていた以上に便利で、旅行先などで撮影した写真をその場で見返すときにも重宝した。誰かに写真を見せるときも、7.6インチの画面いっぱいに表示できるので、スマートフォンの小さな画面で見るよりも細部まで分かりやすい。
カメラそのものは望遠を搭載しない2眼構成だが、日常の撮影で不足を感じる場面は少ない。それに加えて、撮った写真を7.6インチの大画面ですぐに確認できる。この「撮る」だけで終わらず、「撮った写真を見る」まで快適にできるところは、『Galaxy Z Fold8』ならではの面白さだと感じた。
最新SoC搭載でゲームもマルチタスクも快適
SoCには、最新の「Snapdragon 8 Elite Gen 5 for Galaxy」を搭載する。AnTuTu Benchmarkでは約294万点を記録した。
SNSやWebブラウジング、動画視聴といった普段の用途はもちろん、『原神』のような負荷の大きな3Dゲームも高画質設定でプレイできる。アプリを複数起動した状態での切り替えもスムーズで、処理性能について不満を感じることはなかった。
7.6インチの画面はゲームでも使いやすい。プレイするゲームによっては画面が大きくなったことで操作ボタンや情報表示の位置が変わるため、最初は少し戸惑うものの、慣れてしまえば小さなスマートフォンよりも状況を把握しやすい。
ただし、ゲームを長時間プレイすると徐々に端末が熱を持ってくる。これはハイエンドスマートフォンとして珍しいことではないが、ゲームを長時間続ける場合はケース越しでも熱を感じる場面があった。
バッテリー容量は4,800mAh。実際に朝9時頃から外出し、SNSやメール、Webブラウジング、マップなどを使いながら1日過ごしてみた。夜22時頃に帰宅した時点で、バッテリー残量は約30%だった。
もちろん使い方によって結果は変わるが、一般的な使い方なら1日充電せずに使える程度の余裕はある。カメラを大量に使ったり、ゲームを長時間プレイしたりすると消費量は増えるが、それでも「大画面だからバッテリーがすぐなくなる」という印象はなかった。
気になったのは「フレックスモード」がないこと
ここまで便利な部分を中心に紹介してきたが、使っていて気になった点もある。例えば、従来の「Galaxy Z Fold」シリーズで利用できた「フレックスモード」に対応していないことだ。『Galaxy Z Fold8』は折りたたんだ状態と完全に開いた状態の切り替えが基本で、90度程度の角度で本体を固定する使い方には向いていない。動画を机の上に置いて見る、カメラを固定して撮影するといった場面では、フレックスモードが使えるモデルのほうが便利だろう。
また、横幅が広く片手でのフリック入力がしづらいため、フリック操作での文字入力を基本として使う人にはデメリットに感じられるかもしれない。
使って分かった『Galaxy Z Fold8』のいいところ
約1週間使ってみて感じたのは、『Galaxy Z Fold8』は単純に大画面なだけのスマートフォンではなく、閉じた状態では程よいコンパクトさがあり、必要なときだけ画面を大きくできることに価値がある端末だということだった。
普段は閉じたまま使う。メッセージを確認するときも、決済するときも、ちょっと地図を見るときも、そのままで十分だ。
その一方で、写真や動画を見たいときや、電子書籍を読みたいとき、Web記事をじっくり読みたいと思ったときには、本体を開けば7.6インチの画面が現れる。この切り替えがかなり自然で、思っていた以上に自分の生活にはよく合っていた。
もちろん、Fold8がすべての人にとって使いやすいわけではない。横幅があるため片手でのフリック入力はしづらく、WebやSNSでは縦長のスマートフォンほど一度に多くの情報を表示できない。本体を90度に折り曲げて使うフレックスモードにも非対応だ。
ただ、こうした部分は『Galaxy Z Fold8』が使いにくいから生まれた欠点というより、閉じたときの扱いやすさと、開いたときの7.6インチという画面を両立させたことで生まれたトレードオフでもある。
そう考えると、Fold8を選ぶうえで重要なのは、片手での操作性やフレックスモードを多少犠牲にしてでも、ユニークなパスポートサイズのカバー画面を使ったり、4:3比率の画面でコンテンツを楽しみたいか、だと言えそうだ。
普段『Galaxy Z Flip7』を使っている筆者としては、折りたたんだときのコンパクトさや片手で扱える気軽さ、フレックスモードを利用した写真撮影ができるという意味では、やはりFlipシリーズのほうが自分に合っているような気がしている。
それでも『Galaxy Z Fold8』の7.6インチという画面は、日常的に使うにはちょうどよかった。写真を見返したり、電子書籍を読んだり、動画を見たりするときには、一般的なスマートフォンとは明らかに違う見やすさがある。それでいて、必要がないときは閉じてコンパクトに持ち歩ける。
1週間使ったことで、「大画面の折りたたみスマートフォンを毎日持ち歩く」という選択肢が、以前よりずっと現実的に感じられるようになった。今すぐ『Galaxy Z Flip7』から乗り換えたいとまでは思わないが、それでも、次にスマートフォンを買い替えるときには、『Galaxy Z Fold8』の次世代モデルが選択肢に入ってくるのは間違いないだろう。