スマホで手軽に見れる縦型ショートドラマに注目が集まっている。『TikTok上半期トレンド大賞2024』では「ショートドラマ」が大賞に選ばれており、盛り上がりは本物だ。

　そんなショートドラマでいま注目のチャンネルが「匿名 あの卓が気になる」だ。かなりリアルな会話をこっそり聞くことができる本チャンネルの作品は、病み付きになる視聴者がジワジワ増えている。

　場所は居酒屋。我々（視聴者）の斜向かいの卓には、カナ、タマ、キコという女性3人組が飲んでいる。その3人の会話が聞こえてくるのだが、話している内容が“なんか気になってしまう”のだ。

　誰しも人生で一度は経験したことがあるだろう。ファミレスやカフェで、ついついとなりの席の会話をジッ……と聞いてしまう瞬間。しかも、その他人同士の会話が意外にも面白かったりする。たとえばXでも、「となりの高校生グループの会話で……」「今日となりに座ってた客が……」というような導入で、思わずクスッと笑ってしまうようなエピソードが拡散されることもたびたびある。

　しかも、そういった瞬間は突然訪れるから面白い。何気なく座った席で、自分とはまったく関係のない場所で繰り広げられる会話を、急に聞くことができるのだ。普段交流をしないような人たちや、自分とは異なる世代のリアルな会話を聞く機会などあまりない。そして、他人がゆえに自分は途中参加ができないところも、絶妙にもどかしい。

　「あの卓が気になる」では、そんな距離感の会話を堂々と盗み聞きすることができるのだ。

　3人が話している内容も、「足湯アンチか否か」「占いってどこまで信じる？」「ラメって何歳になってもトキメクよね」「東京で1番エロい駅」など、「わかる〜！」と言いたくなるものから「いや私はこうだけどな……」と言いたくなるものなど、どれも絶妙な内容だ。しかも言ってしまえば、すべてどうでもいいことではある。ただ、仲の良い友達とどうでもいいんだけどつい話してしまう、この時間こそが実は1番楽しかったりする。現に、この3人はめちゃくちゃ楽しそうに話しているのだ。

　現実では、となりの席の会話が面白い確率はけっこう低い。でも「あの卓が気になる」では、百発百中満足できるおしゃべりを3人はしてくれる。「そういえば今日誰とも会話してないな」「なんか耳が寂しいかも」というときは、ぜひ視聴してみてほしい。1月25日に、3人は“一旦お会計”をしてしまったのだが、またいつかフラッと飲みにくるだろう。