浮気のトラウマが障壁に 入籍延期中の30歳カップルに黄色信号『さよならプロポーズ』3話

好きだけど、価値観が合わない相手とは別れるべきなのか?

 いちばん好きな人なのに。いや、いちばん好きな人だからこそ、素直になれなかったりする。27歳でラグビー選手のアオイと、30歳でモデルのモナ(彼らはSNS総フォロワー数35万人超のカップルYouTuberでもある)も、「向こうが直してくれたら、こっちだって直すのに」と、お互いに意地を張ってしまう。第三者からしたら、「そんなに合わないなら、もう別れた方がいいんじゃない?」と思ってしまうけれど、条件で好きになったわけじゃない相手を、条件で嫌いになることなんてできないから、難しい。“好き”という気持ちがある以上は、離れることなんてできないのだ。

 そういう意味では、アオイとモナはすごく深い部分で愛し合っているのだと思う。恋愛よりも大事にしなければならないものがあるアオイと、パートナーと過ごす時間がいちばん重要だと考えているモナは、どこまでいっても平行線のまま。お互いがちょっとずつ歩み寄らなければならないのだろうけど、ずっと我慢をしなければいけないのも苦しい。それぞれ、もっと合う相手がいるだろうし、そういう人といた方がラクなのでは……? と思ってしまうが、それでも離れないということは、相当好きだということなのだろう。

 人生100年時代と言われているいま、結婚相手とともに過ごす時間は途方もないくらいに長い。すごく価値観が合う人を選んだとしても、AIでもないかぎり、100%マッチする人間なんていない。確実に、すれ違いが生じる瞬間はやってくる。そうなったときに、乗り越えたい、相手に歩み寄りたいと思えるかどうかは、好きだという気持ちがどれだけ残っているかにかかってくるのではないか? と思った。アオイとモナは、価値観が合わないかもしれないけれど、向き合うことから逃げない。ちょっと離れたとしても、やっぱり磁石のように惹かれあってしまう。

 3日目の夜、アオイの友人夫婦を交えてディナーをしたとき、その夫婦はモナが吐露した悩みに「分かる、分かる」と共感をしてくれた。

 わたしたちだけが、こんなに悩んでいるのではないか? こんな未完成な状態で、夫婦になれるのだろうか? と立ち止まっている2人にとっては、心がラクになった瞬間でもあったのではないだろうか。結婚相手は、「この人とすべてが合う」と思える相手じゃなくていい。「この人となら、向き合っていきたい」と思える相手こそが、運命の人なんじゃないかなと思う。

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