連載:エンタメとテクノロジーの隙間から(第四十一回)

『VRChat』にハマると「Unity」に詳しくなるワケ “アバター改変”文化の楽しさと苦悩

実際、どんぐらいカスタマイズできるのよ?

『Unity』の編集画面

 こうして販売されているアバターと衣装ですが、個別に対応されているのは一定数ユーザーから利用されているアバターであることがほとんど。素体の形状がそれぞれ異なるため「全てのアバターに使える共通衣装」を用意するのは困難なためです。

 さて、アバター改変はどうやっておこなうのか。実際にやってみましょう。必要な準備やツールがいくつかあるのですが、今回の主題は「How To 改変」ではないので準備段階のツール類の紹介は割愛。

 アバター改変に使うツールは無料のゲームエンジン「Unity」です。ユーザーはアバターや衣装のデータ、着せ替え用の支援ツールなどをUnityに読み込んでカスタムしていくというわけです。

 今回お借りしたアバターは2種類。高木恭介さんが運営するショップ「brochiManac(ブロキマナク)」の『Julius(ユリウス)』と、とまさんが運営する「on-air」の『Lowtus(ロータス)』です。

 なお、前者の『Julius』はプロモーションのために無料配布されているアバターで、誰でも無料でダウンロードして使うことができます。後者は筆者が個人的によく使わせていただいているアバターです。

 まずは『Julius』を改変してみましょう。衣装はりんごあめさんが運営するショップ「DRIP」の『Royal Dress』をお借りして、着せてみます。対応衣装なので、体型を合わせたりする必要は無く、そのまま着せられます(※)。

【※:『Julius』はbrochiManacがリリースしているサイズ違いの共通ボディを使用しているので、正確には少しだけスケール(サイズ)を調整する必要がある。とはいえ、等倍を0.9倍に変更するだけなので簡単におこなえる】

 こうした販売衣装の面白い点として、デザインやカラーの異なるバリエーションを同梱してくれている商品の存在。たとえば『Royal Dress』には8種類ほどのマテリアル(柄や色、質感などを設定したファイル)が同梱されているので、これを衣装に適用することで見た目を簡単に変更することが可能です。柄・衣装を組み合わせることで個性を出すことが出来るのが面白いところ。

 ところで、体型に合わせた調整を施されている衣装を「対応衣装」と呼ぶ……という話をしましたが、“そうでない衣装”=非対応衣装の場合でももちろん着せることができます。自力で調整を施す必要があるため、少し難易度は上がりますが、基本的なUnityの操作と各種ツールの力を借りれば意外に簡単に着せることができます。

 しかも、複数の衣装を組み合わせれば「このトップスと、この靴を組み合わせて……」といった形で、リアルさながらにコーデを組むことも可能。髪型や体型も自由に変えられるので「この髪型だと合わないから違うものにしてみよう」「もう少し足を細くしてみよう」といったことも可能です。一例として、Lowtusに非対応の衣装を着せてみましょう。

 使用したアイテムは以下の通り。いくつかの衣装を組み合わせてみました。小物類は標準で入っているものを使用しています。

whimさんが運営するショップ「whimsy」の『Hatmaker -Unusual-』(髪型)
同ショップの『GraTワンピ + Sneaker -Crow-』(ソックス+シューズ)
メタバースヨコスカ『DOBUITA STYLE 【for Woman】』(アウター、トップス、スカート)

 余談ですが、横須賀市が展開するプロジェクト「メタバースヨコスカ」のスカジャンは、無料配布されているのにもかかわらずハイクオリティで大変驚かされた記憶があります。

 パッと見では綺麗に着せられていますよね。ですが、実際には各種ツールの支援を借りて調整しています。3Dモデルを縮小したり拡大したり、位置を調整したり……、試行錯誤しながら体型に合わせていきます。

デフォルトの状態では配置すると身体のあちこちが貫通してしまっている
これを少しづつ調整していきます。今回はあおさんが製作した支援ツール『Module Creator』で衣装をパーツごとに分けて調整しました

 というわけで、無事綺麗に着せることが出来ました! 少し慣れれば、非対応の服もこのようにして着せることができるので、対応衣装の少ないアバターだったとしても選択肢がめちゃくちゃ広がります。

 ゲーム要素のあるワールドやおしゃべり、イベント、ライブ、DJイベント、学術などなど……さまざまな楽しみ方がある『VRChat』。ゲームのキャラクリが好きな方、いわゆる見た目装備やスキンにこだわりのある方であれば、間違いなく“ドハマり”できるのが「アバター改変」だと思います(というか、筆者自身が見た目装備を集めるのが好きなタイプのMMORPGプレイヤーだったので、ものの見事に沼へはまり込んだ訳ですが)。

 筆者はいつでも一緒にワールドの隅っこで改変する仲間を募集しています。一緒にアバター改変を楽しみましょう!

 ……え? 記事タイトルの「苦悩」はどこだって? そりゃあもちろん、服を買いすぎて金欠になることですよ! BOOTHのご利用は計画的に!

■アバター・衣装協力
「brochiManac」 by 高木恭介:『Julius』
「DRIP」 by りんごあめ:『Royal Dress』
「on-air」 by とま:『Lowtus』
「whimsy」 by whim:『Hatmaker -Unusual-』『GraTワンピ + Sneaker -Crow-』

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