MGS『マスターコレクション Vol.1』は“決意”を感じる「保存版」だーー“あの”セーブ読み取り設定からマスターブックまで徹底レビュー

 『メタルギア ソリッド: マスターコレクション Vol.1』は、2023年10月24日にニンテンドースイッチ/PS5/PS4/Xbox Series X|S/Steam向け(PS4、Xbox Series X|S/、Steam版はダウンロード販売のみ)に発売される。本作は「メタルギア ソリッド」シリーズの初期3作品を中心に、その関連作品をひとまとめにした、いわば“保存版”だ。

 本作の魅力は、『メタルギア ソリッド』を含む名作たちが現行機で遊べるという点(とりわけ、プラットフォームに縛られにくいSteamに移植されたことは大きな意味を持つだろう)と、ファンならなめ回すように読み漁れるマスターブックの2つにある。

 本作と今後発売されるであろう『Vol.2』を棚に置いておくだけで「メタルギア」シリーズを語れるし、古いハードを引っ張り出す必要はないということだ。極端な話、読み物として購入することすら“アリ”に感じる。その理由を述べていきたい。

 なお、本稿では物語の核心への言及は避けているが、一部の演出など、どうしても避けられないネタバレを含むことと、作品のサブタイトルなどを注釈なく省略している場合もあることに留意してほしい。

※本稿はコナミデジタルエンタテインメントより提供されたSteam版でのプレイコードを元に執筆しています。

“コレクション”要素その1:英語音声も気軽に楽しめる

 収録作品は、小島秀夫が監督を務める『メタルギア』『メタルギア 2』、『メタルギア ソリッド』『メタルギア ソリッド 2』『メタルギアソリッド 3』のほか、ファミコン版『メタルギア』や、海外でしか発売されていなかったNES版『メタルギア』の続編『SNAKE'S REVENGE』が含まれている。また、読み進める漫画形式の映像作品「バンドデシネ」も『メタルギア ソリッド』『メタルギア ソリッド 2』のそれぞれが収録されているほか、それぞれのシナリオブック・マスターブックもデジタルコンテンツとして楽しむことができる(詳しくは後述する)。

 以下、『メタルギア』を『MG』、『メタルギア ソリッド』を『MGS』と表記する。

 まず、収録作品について詳しくみていこう。Steam版では『MG』&『MG2』・『MGS1』・『MGS2』・『MGS3』・ボーナスコンテンツVol.1の計5つのソフトに分かれている。

 操作方法はコントローラーを前提としているが、操作方法の表示設定にはキーボードのものもみられたので、今後対応する可能性もあるようだ。

 それぞれの作品には(一部例外もあるが)日本語・英語・フランス語・イタリア語・ドイツ語・スペイン語の字幕が含まれている。英語音声のみの『MGS1 INTEGRAL』に加えて『MGS2』と『MGS3』の北米版も収録されているため、英語吹き替え音声でそれぞれの作品を楽しむことも可能だ。

 ボーナスコンテンツにはファミコン版およびNES(海外向けファミコン)版『メタルギア(北米版・日本版)』と『SNAKE'S REVENGE(英語のみのオリジナル版のみ)』と、デジタルサウンドトラック、バンドデシネが収録されている。なお、バンドデシネに関しては今回の事前プレイでは確認することができなかったが、『MGS BANDE DESSINÉE』と『MGS2 BANDE DESSINÉE』』のほかに『MGS DIGITAL GRAPHIC NOVEL(BANDE DESSINÉEの国外版名称)』を選択する項目もあったので、こちらも英語で楽しめそうだ(各ボーナスコンテンツの選択画面BGMも、ファンならグッとくるはずだ)。

 それぞれのローカライズ版をひとつと捉えると、かなりの本数の『メタルギア』関連作品が含まれていることがわかる。特に英語音声を気軽に遊べるというのはひとつ面白いポイントだ。

“コレクション”要素その2:『MGS1』初のリマスターは“本気”

 何が入っているか話すだけでも一苦労であり、作品それぞれをピックアップすることは避けるが、『メタルギア ソリッド(以下、MGS1)』についてはお伝えすべきことがある。それは「セーブデータ編集」機能だ。本作のとあるボスには、オリジナルが発売されたPS1のセーブデータに保存された他のゲーム作品を読み取り、特定の作品に応じて反応を示すというギミックがある。このために架空のセーブデータを置いておくことができる。

 ハードにセーブデータを置いておかねばならないというハードルのとても高いものが、簡単に聞くことができるという配慮はとてもうれしい。プレイ中に“パッケージの裏”がみられるように、『MGS1』はPSコントローラーでいうL1・R1ボタンを同時押しすることでポーズメニューを開ける機能も搭載している。

 また、プレイ中はアスペクト比の関係で左右に余白ができてしまうが、ここに絵柄を充てることもできるようになっている。画面を左右に寄せることもできる。これは『MG』『MG2』などでも同様だ。細やかな心配りから、ファンを大切にしたい気持ちが伝わってきてうれしい。

 これまで後方互換でプレイする必要のあった『MGS1』を現行機に移植するという機会を逃すまいという意思を感じる。

 また、過去の『MGS2 HDエディション』の一部ハード版では無線時にロードの関係かもたつくこともあったが、それも改善されているほか、HDエディションではなぜか小さく表示されていた最初のカットシーンに登場するロゴがオリジナル版の大きさに戻っているなど、改善点もみられる。

 もちろん作中のセリフやカットシーンなどはそのままであり、ゲーム起動直後には「時代にそぐわない表現」に関する注意書きもみられる。価値観は時代と共に変化するが、忘れないでいたいものもあるというわけだ。

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