ドイツのレーベル〈グラモフォン〉がクラシック特化のサブスク『ステージプラス』をローンチ 映像・音楽でコンサートホールの熱量を楽しもう
クラシック音楽のレーベル「ドイツ・グラモフォン」が、クラシックの映像および音楽を配信するサービス『ステージプラス』を日本でローンチする。4月4日に東京文化会館小ホールにて発表記者会見が開かれ、クレメンス・トラウトマン氏（ドイツ・グラモフォン社長兼 CEO）、ローベルト・ツィンマーマン氏（ドイツ・グラモフォン副社長・ダイレクトコンシューマービジネス）、ヤン・リシエツキ氏（ピアニスト）、藤倉尚氏（ユニバーサル ミュージック合同会社 社長兼最高経営責任者）、芦田尚子氏（東京・春・音楽祭実行委員会事務局長）が登壇した。
『ステージプラス』は、ライブ配信、映像アーカイブ、新譜音源を一つのプラットフォームで提供するクラシック音楽総合配信サービス。昨年秋の英語版とドイツ語版のスタートから3か月という短い期間で日本語版がローンチされようとしている。
ユニバーサル ミュージックの藤倉は、様々な音楽ストリーミングサービスが存在するなか、『ステージプラス』が日本でローンチされることによって「熱心なクラシックリスナーに、心から満足のいくようなプレミアムサービスを提供したい」という兼ねてからの願いが具現化すると語る。先日、久石譲がドイツ・グラモフォンと契約したことが発表されたが、今後はドイツ・グラモフォンから初のアルバムのリリースのほか、ウィーン交響楽団の新たなコンサートシリーズ『CINEMA:SOUND』に久石が出演した模様が『ステージプラス』で配信される予定だ。
ドイツ・グラモフォン社長のクレメンスは、『ステージプラス』を日本でローンチする理由を、「見識豊かでクラシック音楽に対して敬意を持って接しているファンがいるから」と日本のクラシックファンの熱量にあると話す。通常であれば年に2回ほど日本を訪れているというクレメンス。今回、会見の場になった東京文化会館やサントリーホールなどで体験した素晴らしいコンサートは、「ステージ上のアーティスト、客席にいる観客との内なる繋がり、結びつきを強く感じる場所」だと言う。そんな素晴らしい音楽体験を世界に届けたい、広がりを持たせたいという思いが実現し、4月5日に『東京・春・音楽祭』の一環として東京文化会館 小ホールにて開催される、ピアニスト・リシエツキが出演する『ブラームスの室内楽 Ⅹ』が、『ステージプラス』にて配信される予定となっている。
アーティストとして音のクオリティにこだわっているというリシエツキは、「コンサートホールからのライブ配信を堪能いただけるのは素晴らしいこと」だと『ステージプラス』のサービスに賛同しつつ、「質の高いものを一緒に作っていく」ことを約束した。また、『東京・春・音楽祭』の芦田は『ステージプラス』について、「日本が世界と繋がる架け橋であり、新しいサービスが使われるというのは光栄」だと話していた。
ドイツ・グラモフォン副社長のローベルトは、iPadやApple TVから実際に『ステージプラス』のプラットフォームを紹介。オンデマンド再生、歴史的映像、ドキュメンタリー、インタビュー、ショートビデオライブ中継が終了した映像は、オンデマンド再生で楽しむことが可能に。映像配信のほかにも、歴史的な名盤も約1200タイトルほどアップされている。注目すべきは、高画質・高音質を実現し、4K、ロスレス、ドルビーアトモスに対応していること。「我々はSpotifyでも、Apple Musicでも、Amazon Musicでもない。キュレーション内容を経たサービスを届けることを心がける」といったローベルトの言葉が印象的だった。
平たく言えば、クラシックに特化したサブスク『ステージプラス』。クラシックファンにとっては世界中のリアルな音楽体験に没入できる必見のサービスと言えるだろう。
■日本版ローンチ後に予定されているライブおよび収録配信
ライブ配信：ヤン・リシエツキ＆日本人ソリストたちによるブラームス作品集（4月5日／東京・春・音楽祭）。
ライブ配信：キット・アームストロングによる「鍵盤音楽年代記」（4月8日／東京・春・音楽祭）
収録配信： ジョン・エリオット・ガーディナーによるバッハ「ミサ曲 ロ短調」from ヴェルサイユ（4月15日)
収録配信：アヴィ・アヴィタル～世界のはざまで：イタリア編（4月19日／ベルリン・P・ブーレーズ・ザール）
収録配信： ジョン・エリオット・ガーディナー＆イングリッシュ・バロック・ソロイスツによるモーツァルトとハイドン（4月22日）
ライブ配信：ダニール・トリフォノフのスクリャービン「ピアノ協奏曲」。ヤクブ・フルシャ＆チェコ・フィルハーモニー管弦楽団との共演（4月28日）。
収録配信：ファビオ・ルイージ＆キム・ボムソリによるニールセン「交響曲第5番」と「ヴァイオリン協奏曲」（5月6日）
収録配信：マンフレート・ホーネックがシュミットとベートーヴェンを指揮。ヴァイオリン独奏は、マリア・ドゥエニャス（5月20日）
収録配信：アルブレヒト・マイヤーとベルリン・バロック・ゾリステンがバッハを演奏（6月3日）
この後もライブ配信・中継配信を毎週実施