ごっこ倶楽部に聞く、ショートドラマの"圧倒的な可能性" 流行りを超え「日常に溶け込む文化」を目指して

ーーそもそも、ショートドラマに可能性を感じたのはどのタイミングだったのでしょうか?

多田:去年の5月かな? 僕はもともと役者をやっていて、大貴くん(渡辺大貴)と「ドラマ撮りたいね」と話していたんですよ。けど、ちょうどいいプラットフォームが見つからなくて、アンテナを張って色々と調べていたんです。

 僕は中国と日本のハーフなんですが、中国にもショートムービーが中心のSNSアプリがあって、そのアプリのおすすめ欄を見たらショートドラマしか出てこない、ということがあって。

 それを見たときに、「これってどうやってマネタイズされているんだろう?」「どういう風に経済が回って、こういう作品を撮れたんだろう?」というのが気になって、調べたり予想したりするうちに、「あ、これは100%日本でも流れが来るぞ」と思ったんです。

 それでメンバーを集めて、ごっこ倶楽部として活動を開始しました。

ーーその予想が的中して、日本でも流行りはじめていますよね。最近はほかのプラットフォームでも、ショートドラマを投稿するクリエイターの方が増えている印象です。

多田:そうですね。まだまだこれからだと思います。僕の予想では、もっと流行ってるつもりでいたんですけどね。

谷沢:あれだよね。ごっこ倶楽部に限らず、ショートドラマの文化を日本にも根付かせたいと思って活動してきたんだよね。でもまだまだ。

多田:そうそう。日本ではまだショートドラマ文化が浸透してないな、という感覚です。

ーーまだまだ可能性がある?

多田:全然、まだまだこれじゃ足りないです。ビジネス的な視点にはなってしまうんですが、市場価値で言えば"兆"の位を超える規模になると思ってます。

 YouTuberの初期とも似ていると思います。最初にYouTuberが出てきたときは、テレビ業界は「なんだこいつら」という見方をしていましたよね。けど、いまは世間的にもすごく大きな存在になっているじゃないですか。

 ショートドラマも同じで、新しいエンタメの作り方だと思ってます。まだ"流行りモノ"っていう見られ方をしちゃっているので、それをちゃんと日常に溶け込んだ文化として根付かせていきたいですね。

 理想は、YouTubeや動画配信サービスが流行る前にみんなが「昨日のドラマ見た?」って話していたようなテンションでショートドラマについて話してるぐらいです。

ーーYouTubeの流れと似ていると仰っていましたが、同じようにテレビドラマを主戦場とする役者の方々がショートドラマに参入してくる可能性はあると思いますか?

多田:うーん、どうなんでしょうね? 僕たちももともとテレビドラマに出演したり、今も出ていたりするメンバーがいるんですが、僕らはテレビドラマとショートドラマの間に垣根を感じていないんですよ。

 もちろん、お芝居は大事なんですが、それだけでは足りないのかなと思います。ショートドラマへの理解が無いと。硬い考えのままだと、参入は遅れてしまうんじゃないかな?と思ったりはしますね。

ーーありがとうございます。今年1年、ショートドラマを流行らせようと活動されてきたごっこ倶楽部が2023年の目標としていることを教えてください。

多田:来年の目標は「メディアミックス」ですね。

 結局TikTokのクリエイティブなものって、消費が早いんですよ。バズったとしても、1ヶ月後ぐらいにもう忘れられてしまってる。なので、常にヒット作を出し続けないといけないんです。

 けど、やっぱりショートドラマって1本から3分とか5分くらいで、前後編あわせても10分あるかないかくらいの短い動画なので、なかなかずっと残るような作品になりづらいんです。

 そこを、漫画であったり、小説であったりを脚本に起こしてドラマに仕立てていく。あるいはTikTok以外のプラットフォーム、それこそいま盛り上がってるABEMAさんだったり、Netflixだったりと手を組んでごっこ倶楽部らしいIP作品を作っていきたいですね。

 『ドラゴンボール』まではいかずとも、ロングヒットセラーになるようなものを目指して、来年は作品作りができたらいいなと。

ーー作品の構想はすでに浮かんでいるんでしょうか?

多田:アイデアはいくつかありますよ。けど、せっかくTikTokっていう、世間の評価がダイレクトに反映される指標があるので。そこで色んな手を打ってみて、みなさんの反応や数字を見ながら、どのアイデアが一番ロングヒットになるのか試していこうと思っています。

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