切り抜き職人って、いったい何者? 切り抜き動画の増えた背景と注意点について考える
ここ数年でTikTokやYouTubeショートといった、15秒から60秒前後の動画が流行ってきた。主に長時間にわたる生配信を全て見る時間がない人、どういう動画を出しているか興味を持ち始めた人が短時間で動画を楽しみたい、知りたいといった需要に応える事ができるため人気のコンテンツとなっている。
昔から切り抜き動画は投稿されてきたが、今ほど強い影響力を持ってはおらず、元の動画投稿者のことが好きで、個人で動画の面白さを伝えるだけのものであった。数年前から短い動画が流行り初め、改めてTikTokやYouTubeショートといった短い動画に馴染みやすい切り抜き動画が注目を浴びてきている。その中で切り抜き動画を投稿する『切り抜き職人』を目指す人の注意すべき点や今後の成長などを考えていく。
切り抜き動画とは
切り抜き動画とは、主にYouTubeやライブ配信を使って長時間の動画を投稿するクリエイター(以降、動画主と呼ぶ)などの動画について、要点や一つのくだりを短くまとめる形で再編集して投稿する形式の動画だ。動画主の動画を投稿した本人が自身のチャンネル上で切り抜き動画を出すこともあるが、基本的には事務所や本人が切り抜きを許可しているチャンネルについて、全く別の第三者が申請をしたうえで、許諾を得て編集し投稿したものである。このような動画クリエイターは一般的に『切り抜き職人』と呼ばれている。
では、なぜこの「切り抜き動画」が流行っているのか。その理由として「動画主」「視聴者」「切り抜き職人」それぞれにメリットが存在するからである。動画主にとっては、動画が多くの人に知れ渡るため、新規視聴者の獲得に繋がったり、切り抜きチャンネルの収益の一部をシェアすることを条件に切り抜きを許可し、元動画以外の形で収入を得ることができる。視聴者にとっては、より短い時間で新しい面白い人を発見することができる。切り抜き職人にとっては、切り抜きチャンネル自体を収益化でき、収入につながることが挙げられる。
切り抜き職人の中には、クリエイターのファンとして「面白いから切り抜きをする」「この人の良さを広めたいから切り抜きをする」という考えの人も多くいると思うが、もし収益化することが禁止されていれば、現代のように動画編集を続ける人は少なかったと思う。収益化をすることでより面白い動画にしようという意欲が生まれ、比較・競争により切り抜き職人たちが切磋琢磨することで、全体のクオリティが上がった結果、流行へと繋がったのではないかと考えられる。視聴回数が伸び、切り抜き職人としてファンがつけば、収益化も夢ではない。
このような理由から切り抜き職人になろうと考えている人もいると思う。そのような人たちに向けて、切り抜き職人になる方法と、その上で注意する点についてまとめていく。
切り抜き職人になるには
切り抜き職人になるには、切り抜きをしたいと思っている動画主か動画主が所属している事務所、提携している管理会社に申請を出す必要がある。しかし、有名人たちと直接やり取りすることは難しい。そのため、そういった人たちの申請方法として事務所や提携している管理会社と連絡を取ることができ、そこから許可をもらうことでメールでやり取りをしながらどのように動けばいいか教えてもらうことができる。
また、許可を得るためにはチャンネルを開設しておかなければいけないため、Googleアカウントを作成(Googleアカウントの作成方法:https://support.google.com/accounts/answer/27441?hl=ja)し、YouTubeチャンネルを新設しておく必要がある。自分のチャンネルを作成したら申請フォームに記入をしていく。
一連の手順を行えば誰でも切り抜き職人になることができるというわけである。
動画を投稿する前に注意すべきこととして、許可を得たらガイドラインを確認し、書いてあることを厳守し、動画主が不利になってしまうような悪意を持った切り抜き動画の投稿はお互いに不利益になる可能性が高いため控える必要がある。
動画主と切り抜き職人、視聴者全員が気持ちよく動画を見ることのできるようルールを守るのも切り抜き職人のあるべき姿である。
切り抜き動画は現在なくてはならない動画コンテンツ
ライブ配信は長時間になることが多く、見る時間の足りない人にとっては切り抜き動画というものは需要が高い。その上でどちらの流行りも合わさった切り抜き動画がTikTokやYouTubeショートといった動画にも上げやすく、多くの人の目に触れることができるようになっている。
切り抜き動画を作ることは簡単であるが、なによりも大事なことは動画主に対する敬意を持つことである。切り抜き職人なるもの動画主がいなければ動画として成り立たない。動画主が労力をかけて作っているものを借りているという意識を持つ必要が何よりも大切になってきている。
現代に欠かせなくなっている切り抜き動画。切り抜き動画を黙認している動画主も、切り抜き職人も、それぞれが切り抜き動画に対するリテラシーを持ち、お互いが必要とされる関係でいたいところである。