周央サンゴは『スペイン村』を、『パリピ孔明』はクリエイター業界を、VRChatコミュニティは日産自動車を盛り立てる

 今週も、VTuber業界の大きなニュースからの幕開けとなった。バーチャルシンガー・花譜の3rdワンマンライブ『不可解参(狂)』が、日本武道館にて開催決定というニュースだ。第一報は5月15日の深夜のライブ放送にて、渋谷に出稿された街頭広告を映すというサプライズで発表された。

花譜 #100 「前触」

 バーチャルアーティストの日本武道館公演は非常に事例が少なく、まさに快挙といえる一報だ。頭一つ抜けた歌唱力とアーティスト性を誇る一人の少女が、武道館でどのような「事件」を生み出すか注目だ。

【おつかれさんご】GWSP(スペイン)ゆるゆる定期雑談!第62回!【周央サンゴ】

 その同日、「人がいないことが取り柄」としばしば語られる三重県志摩市の複合リゾート施設『志摩スペイン村』に、かなり大きな「バズ」が起きた。きっかけとなったのは、「にじさんじ」所属の周央サンゴ。可憐な見た目からは想像もつかないほど多弁で饒舌なVTuberであり、そして『志摩スペイン村』のファンである。

 「アトラクションで1分も並ばない」「人と交通の便だけが全く足りていない」などの毒舌も交えながら、『志摩スペイン村』の魅力を熱弁した彼女の配信は、5月16日にぴぴ氏によって切り抜き動画が作成され、これがTwitterでトレンド入りを果たし、流れを見た『志摩スペイン村』は急遽ホテルに「シングルユースプラン」を設けた。SNS時代ならではのスピーディーな展開である。

 優れたプレゼン能力を持つVTuberによる「バズ」の発生は、皇牙サキによる『薩摩義士伝』語りなど、2018年の黎明期からしばしば見られる事象だ。そして、配信主体のVTuberが増えた現在、その魅力を濃縮して伝える「切り抜き動画」は重要な役割を果たす。周央サンゴによる『志摩スペイン村』のトレンド入りは、インフルエンサーとして進化を果たしたVTuberの特性が、存分に発揮された事例と言えるだろう。

TVアニメ「パリピ孔明」OPテーマ「チキチキバンバン」【踊ってみた】 with 3D Virtual 英子

 VTuberの隆盛に合わせて、アニメやゲームなどでもしばしば「VTuber的」なキャラクター運用が行われる事例が増えた。その最新の事例が『パリピ孔明』と言える。4月からの放映直後から、ヒロイン・月見英子の3Dモデルを「3D Virtual 英子」と称し、次回予告動画に出演。そして5月17日には、OPテーマ『チキチキバンバン』を踊らせる動画を投稿し、合わせてモーションデータを期間限定で無料配布を始めた。

 モーションデータの撮影は、バーチャルアーティスト「まりなす」などを運営するバーチャル・エイベックス株式会社が担当している。少なからず、同社のバーチャルタレント運用のノウハウが活きているだろう。さっそく、FBX形式で配布されたモーションデータを『VRChat』などで活用するユーザーも現れ始めている。「モーションデータを活用できる人」の存在を前提とした施策が、どのような効果を発揮するかは興味深いところだ。

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