Twitterの「リツイートも著作権侵害」判決、海外の反応と事例は?
ウェブサイトに掲載した写真がTwitter上で断りなく投稿され、それがリツイートされたことについて、身元を特定するために写真家の男性が起こした裁判で、最高裁判所の第三小法廷は7月21日、「リツイートにより著作者が明示されないのは、著作者人格権の侵害に相当する」という判決を下した。
Twitterの仕様変更は急務か
Twitter側は「サービス上ではクリックすれば画像の全画面が表示される」と主張したが、最高裁は「リツイートによってトリミングされた」として退け、当事者のメールアドレスを開示するように命じた。
東京地方裁判所の一審判決は、無断投稿の著作権侵害のみを認めるものだった。しかし、知的財産高等裁判所は、「リツイートが著作権侵害にはあたらない」としながらも、著作物の内容を無断で変えられない権利や氏名表示を決める権利の侵害を認定した。Twitterは上告したが、最高裁は二審の知財高裁判決を支持し、棄却した。
今後、Twitterが仕様変更しない限り、投稿者だけでなくリツイートする人にも責任が伴うことが明確に示された判例となった。
このことについて『Japan Times』は「日本の最高裁は、Twitterに対してリツイートした人物の情報を開示するよう命じる」という見出しで報じた(参考:https://www.japantimes.co.jp/news/2020/07/22/national/japan-top-court-tells-twitter-disclose-retweeters-info/)。
気軽にリツイートしてどんどん情報を拡散させることは、Twitterの大きな特徴だ。日本にはTwitterユーザーが4500万人いると言われており、今回の最高裁の判決はTwitterにとって大きな痛手だ。
今後は、仕様の早急な修正対応が必要になってくるだろう。そうしなければ、日本の一般ユーザーは萎縮して、リツイートは大幅に減少することが予想される。
いまごろ、Twitterの本社があるアメリカでも衝撃が走っているに違いない。
トランプ米大統領のリツイートが著作権侵害
では、そんなアメリカはどうだろうか。こちらは、ドナルド・トランプ大統領のリツイートが著作権侵害をしたと話題になっている。
『Cnet』は 「Twitterはトランプ大統領がリツイートした動画に著作権侵害の申し立てがあり削除した」と報じた(参考:https://www.cnet.com/news/twitter-removes-video-in-trump-retweet-over-copyright-complaint/)。
動画に無断で音楽が使用されたロックバンドのLinkin Parkは「トランプ大統領を推奨したことはありませんし、今後も推奨しません。トランプ大統領の組織が、私たちの音楽を使用することを許可することはありません」とツイートした。
Twitterのスポークスマンは、その動画を削除したことを認め、「著作権ポリシーに従い、著作権の所有者またはその代理人から寄せられた、有効な著作権侵害の申し立てに対応します」と述べた。