『絶体絶命都市4Plus』体験版に見る、“災害のリアリティ”と“ゲームらしい遊び心”の両立

 大規模な自然災害から生き残るサバイバル・アクションアドベンチャーの最新作『絶体絶命都市4 Plus-Summer Memories』(以下『絶体絶命都市4』)。その体験版が、グランゼーラからPS Storeで8月16日より配信されている。

 本作は2009年にPSPで発売された『絶体絶命都市3 ‐壊れゆく街と彼女の歌』から実に9年ぶりに登場する、シリーズ最新作だ。当初はPS3用ソフトとして2011年春に発売されるはずが、紆余曲折を経て2018年10月25日発売予定となった。このような複雑な歴史を持つ作品であるが、この9年間でゲームシステムやグラフィック表現はどう変わったのだろうか。本稿では、『絶体絶命都市4』の体験版プレイを通して感じられた本作の魅力についてまとめる。『絶体絶命都市』シリーズファンや、購入しようか迷っているユーザーの参考になれば幸いだ。

PlayStation 4で描かれる震災の恐怖

 体験版をプレイして数分足らずで実感したのは、PS4のグラフィック能力で精細に描かれた「震災の恐怖」だ。キャラクターメイキングを終えてオープニングを鑑賞し終えると、ついさっきまで何もなかった平穏な日常が、轟音を立てて崩れ去っていく様がモニターに映し出された。本作の主人公(体験版は女性のみ)は、企業の面接会場に向かう車中で被災するのだが、そこで筆者が目の当たりにしたのは、倒壊したビルや地割れで隆起した道路など、リアリティを伴う深刻な災害現場だ。オープニングからゲームスタートまでの演出から、ビデオゲームの中と言えど、震災の恐怖や人々に与える動揺の一端が、確かに感じられた。

被災現場で遭遇する訳ありな登場人物たち

 『絶対絶命都市4』は過去のシリーズ作品と同様、フィールド中に出会う様々な人物と交流を重ねることでストーリーが進行する。体験版はストーリー序盤の内容だったが、それでも「自分の教え子の安否を心配する女性教師」や「就活のために地方から上京してきた青年」など、それぞれにバックボーンが見える人物たちと遭遇した。

 なかでも異彩を放っていたのが、「リストラされた事実を家族に隠し続けている中年男性」だ。彼は被災した直後にも関わらず、ベンチに座ったまま、地面に落とした弁当を見つめ続けている。そこでプレイヤー(主人公)が話かけると短いイベントが発生し、画面に表示された発言から一つを選ぶことになる。これもシリーズの特徴だが、ネタ要素を多分に含む発言も存在するので、主人公を実直な人物にすることも、破綻した人物にすることもできる。自然災害がテーマであるため、基本的にはシリアスな展開だが、会話の選択肢を始め、随所に遊び心が盛り込まれているおかげで、陰鬱になりすぎずに遊べる。

 そんななかで、筆者がリアリティを感じたのは、イベントには直接的に関係のないNPCの描写だ。例えば、地震が起きた状況を現実として受け取れず、ひたすら「凄いな~!」とスマートフォンを構えて写真を撮影する男性。または屋内で被災し電気が消えた後も、商談があるからといってその場から避難しないビジネスマンなどである。客観的な存在であるプレイヤーはことの重大さを正しく認識できているが、日常の延長線上で災害に遭えば、自分も正常性バイアスによって非合理的な行動を取ってしまうのではないか、と考えさせられる。

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