宇野維正の映画興行分析

『ママせか』独走、『汝、星のごとく』健闘 閑散期のシネコンは若者が救う?

 10月第4週の動員ランキングは、前週1位に返り咲いた『ママがもうこの世界にいなくても 私の命の日記』が週末3日間で動員28万人、興収3億9400万円をあげて2週連続にして3週目の1位。10月27日には配給の東映から興収30億円突破との公式発表もあり、今週末の公開作品にも強力なライバルとなりそうな作品が見当たらず、まだまだ独走状態が続きそうな気配だ。

 一方、観客のターゲットが重なっていそうな3位の『汝、星のごとく』も、公開3週目に入ったにもかかわらず週末3日間の動員が14万3000人、興収が2億1800万円と堅調。累計興収も既に13億円を突破していて、ウィークデイの興行では『ママがもうこの世界にいなくとも』に次いで2位のポジションをキープしている。

 初登場作品で最上位となる4位にランクインしたのは、やまもり三香原作、道枝駿佑主演の『うるわしの宵の月』。オープニング3日間の動員は14万1000人、興収は2億円。それぞれノンフィクション作品(『ママがもうこの世界にいなくても』)、小説(『汝、星のごとく』)、コミック(『うるわしの宵の月』)と原作のジャンルは異なり、作品のテイストも異なるものの、『ママがもうこの世界にいなくても』と『汝、星のごとく』と合わせて、トップ4のうち3作が若年層向けの実写日本映画。10月〜11月のいわゆる「閑散期」とされる時期のシネコンの動員を支えているのが、このジャンルの作品だということがわかる。

 コロナ禍を経て明らかになったのは、映画興行の中心がこれまで以上に10代20代の若年層になってきていること。北米はそれがより顕著なのだが、若年層の人口比率が低い日本でも同じ状況が生まれているということは、それだけ強固な世界的傾向なのだろう。また、海外でその客層から最も支持されているのはホラー作品となるが、日本では海外のホラー作品が継続的にヒットするようになっただけでなく(公開3週目の『バイオハザード』もトップ5に踏みとどまっている)、10数年前にブームとなった、携帯小説&コミック原作のティーンムービーの観客から世代交代した、新たな観客層が育っているのかもしれない。

■公開情報
『汝、星のごとく』
全国公開中
出演:横浜流星、広瀬すず、松村北斗、中村アン、濱田岳、尾野真千子、木村佳乃、石田ゆり子、長谷川博己
原作:凪良ゆう『汝、星のごとく』(講談社文庫)
監督:藤井道人
脚本:安達奈緒子
音楽:大間々昂
主題歌:RADWIMPS「夕星-ゆうづつ-」
制作プロダクション:TOHOスタジオ、ドラゴンフライ
配給:東宝
©2026「汝、星のごとく」製作委員会 ©凪良ゆう/講談社
公式サイト:
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