興収で読む北米映画トレンド
“本格ホラー”のDC映画『クレイフェイス』北米No.1 話題の3時間ドキュメンタリーが猛追
一方、前週首位の『ストリートファイター/ザ・ムービー』は、公開2週目にして大きく失速した。週末興収は860万ドル、前週比72.1%減で第4位にランクイン。IMAX上映は確保しており、北米興収の21%をIMAXが占めたが、落ち込みを防ぐことはできなかった。
製作費は8200万ドルだが、北米累計興収は4693万ドル、世界累計興収は7963万ドル。レジェンダリー&カプコンが共同出資し、パラマウントが配給を担当しているため、スタジオごとの負担は少なめだが、初動成績が期待を下回ったうえ、2週目でこれほど大きく減速したのは厳しい結果というほかない。
そのほか今週の初登場は、第3位にストップモーション・アニメーションの名門ライカによる最新作『ワイルドウッド』。北米2942館で週末興収1160万ドルを記録し、事前予測の600万~800万ドルを上回った。海外11市場では300万ドルを稼いでいる。
本作は、カラスに連れ去られた弟を救うため、少女が同級生とともに魔法の森へ足を踏み入れるファンタジー。監督は『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』(2016年)のトラヴィス・ナイトが務め、ライカにとっては『ミッシング・リンク 英国紳士と秘密の相棒』(2019年)以来7年ぶりの新作長編となった。
批評家・観客からは絶賛の嵐で、Rotten Tomatoesでは批評家100%・観客97%、CinemaScoreでも「A」評価を獲得した。ライカ作品はこれまで全作がアカデミー賞候補に選ばれており、本作も賞レースでの活躍が期待される。
もっとも、膨大な時間と労力を要するストップモーション・アニメーション作品ゆえに、製作費は1億ドルと高予算。前作『ミッシング・リンク』(世界最終興収2600万ドル)を上回るスタートを切ったとはいえ、劇場興行だけでのコスト回収は容易ではないだろう。日本では第39回東京国際映画祭で上映される。
第5位には、オリヴィア・コールマン&アレクサンダー・スカルスガルド共演『Wicker(原題)』が初登場。北米1471館で575万ドルという好スタートで、『教皇選挙』(2024年)にも迫る数字だ。
村で疎外されている女性(コールマン)が、地元のかご職人に依頼し、自分の夫を柳細工で編んでもらう。ところが、その「夫」(スカルスガルド)との思いがけないロマンスが、村人たちの嫉妬を呼び起こし……。監督はエレノア・ウィルソン&アレックス・ヒューストン・フィッシャー。
観客の79%を女性が占め、出口調査では92%が好意的に評価。Rotten Tomatoesでも批評家94%・観客93%と高い評価を受けた。
興味深いのはその宣伝戦略で、8月に予告編が公開されると、家具メーカーのIKEAをはじめ生活雑貨ブランドが次々と反応。店舗に並ぶかごを「夫」に見立てて写真を撮る女性たちも現れ、映画とは無関係の企業や消費者を巻き込んだムーブメントが生まれた。配給元もこれに乗じて、身長約198センチの「柳細工の夫」の等身大スタンディを設置し、劇中に登場する職人の工房を再現した期間限定ショップも展開した。
一方で厳しい結果となったのが、カズオ・イシグロの小説『クララとお日さま』を『ジョジョ・ラビット』(2019年)のタイカ・ワイティティ監督が映画化した『Klara and the Sun(原題)』。北米880館で週末興収は72万5000ドル、第14位での初登場となった。
『ウェンズデー』のジェナ・オルテガとエイミー・アダムスが出演した、病気の少女に寄り添う人型AIロボットを描いたSFドラマ。ところが批評家からは厳しい評価が相次ぎ、ソニーは公開規模を縮小した。Rotten Tomaoesでは批評家スコア25%。製作費は2000万ドルで、すでに大きな損失は避けられそうにない。日本公開は未定。
北米映画興行ランキング(10月23日~10月25日)
1.『クレイフェイス』(初登場)
2400万ドル/3458館/累計2400万ドル/1週/ワーナー
2.『You Can See Everything(原題)』(→前週2位)
1950万ドル(+25.0%)/2655館(+1800館)/累計4514万ドル/2週/A24
3.『ワイルドウッド』(初登場)
1160万ドル/2942館/累計1160万ドル/1週/Fathom Entertainment
4.『ストリートファイター/ザ・ムービー』(↓前週1位)
860万ドル(-72.1%)/3575館/累計4693万ドル/2週/パラマウント
5.『Wicker(原題)』(初登場)
575万ドル/1471館/累計575万ドル/1週/Black Bear
6.『BTS WORLD TOUR 'ARIRANG' IN BUENOS AIRES: LIVE VIEWING』(初登場)
450万ドル/1020館/累計450万ドル/1週/Trafalgar Releasing
7.『アザー・マミー』(↓前週3位)
385万ドル(-53.1%)/2798館(-572館)/累計5153万ドル/3週/ユニバーサル
8.『Sense and Sensibility(原題)』(↓前週5位)
340万ドル(-52.8%)/2571館(+26館)/累計1368万ドル/2週/Focus Features
9.『クジラに落ちた男』(↓前週4位)
320万ドル(-59.2%)/3065館/累計1407万ドル/2週/20世紀スタジオ
10.『ヴェリティ/真実』(↓前週6位)
306万ドル(-49.3%)/2442館(-630館)/累計7153万ドル/4週/Amazon MGM
(※Box Office Mojo、Deadline、The Hollywood Reporter調べ。2026年10月26日時点の速報値であり、最終確定値とは誤差が生じることがあります)
参照
https://www.boxofficemojo.com/weekend/2026W43/
https://variety.com/2026/film/box-office/you-can-see-everything-box-office-huge-second-weekend-clayface-leads-1236930604/
https://www.hollywoodreporter.com/movies/movie-news/clayface-box-office-you-can-see-everything-wildwood-1236739530/
https://deadline.com/2026/10/box-office-global-clayface-1237172755/
https://deadline.com/2026/10/indie-film-box-office-naza-neon-la-bola-negra-netflix-1237172763/
https://deadline.com/2026/10/box-office-clayface-you-can-see-everything-1237171500/