アニメ『チー付与』はなぜ面白い? 定番のお約束を“笑い”へ昇華する批評的アプローチ
アニメ『追放されたチート付与魔術師は気ままなセカンドライフを謳歌する。 ~俺は武器だけじゃなく、あらゆるものに『強化ポイント』を付与できるし、俺の意思でいつでも効果を解除できるけど、残った人たち大丈夫?~』(以下、『チー付与』)は、強化ポイントを付与することで武器や防具を強化することができる強化付与魔術師のレイン・ガーランドが主人公の物語だ。
冒険者ギルド「王獣の牙」に所属していたレインは、ある日突然、ギルドマスターから一方的に解雇されてしまう。
ギルドから追放されたレインは、これまで強化付与を施した「王獣の牙」の冒険者たちの武器や防具の強化付与を解除して、13033ポイントの魔力を回収する。
そのポイントを自分の武器や服に強化付与することで圧倒的な戦闘能力を獲得したレインは、冒険者としてセカンドライフを送ろうと決意し、小さな冒険者ギルド「青の水晶」に加入することを決める。
アニメ版『チー付与』は、六志麻あさの原作小説を業務用餅が漫画にしたコミカライズ版がベースとなっている。そのため原作には六志麻あさ、業務用餅、そして、原作書籍版でイラストとキャラクター原案を担当したkisuiの名前がクレジットされている。
コミカライズ版『チー付与』(講談社)は、漫画アプリ『月マガ基地』で配信しており、現在コミックスは22巻まで刊行されているのだが、原作小説とは展開が異なる。名前だけ同じでキャラクターの性格や能力が異なる者や、原作小説に登場しないオリジナルキャラクターが多数登場し、ストーリーも大きく異なるものとなっている。
そのため、原作者の六志麻あさは「※小説版と漫画版で内容が99割程度違うので、ご注意ください。」(※)とコメントしているが、原作との違いを楽しんでおり、アニメ化の際にも「漫画も毎回楽しみに読ませていただいており、アニメで動くレインの姿を見るのが今から楽しみです」とコメントしている。
近年の漫画やアニメでは、作者の意向を反映した、原作を忠実に再現したものを視聴者が求める傾向がとても強くなっている。
そのため、コミカライズ版『チー付与』の大胆なアプローチは、読者からの反発を招きかねないものだったが、原作者の寛大な態度が連載初期に広く知れ渡ったことで、コミカライズでありながら業務用餅の作家性が色濃く打ち出された少年漫画として独自の立ち位置を確立している。