三宅裕司×ビビる大木が挑む、ボウリング業界を題材にした東京喜劇 2人の譲れない笑いとは

萩本欽一から託された「東京喜劇」の看板と、笑いと感動の落差

(左から)三宅裕司、ビビる大木

――新たな風としての大木さんのほかに、ゲストとして沢口靖子さんと野呂佳代さんが参加されます。おふたりはいかがでしょうか?

三宅:沢口靖子さんは今回、2度目の参加になりますが、わかってやっているのかわかっていないのかわからない人です。いわゆる「天然」ですけれど、その天然を自分でわかってやっている不思議なところがあるんです。

大木:沢口さん、ご出身はーー。

三宅:関西ですね。だからなのか、笑いに対する姿勢や考え方が関西っぽい。面白さの表現を大きくできるんです。以前、三谷幸喜さんの芝居で、エレベーターが開いて降りてくるシーンで、本番では音響さんがSEを出しますが、稽古場では「チーン」と沢口さんが言っていたんです。それで本番でも本人が言っちゃったんですよ。「チーン!」って。それが自然で面白くて。もしかしたらわかってやったのかみたいなどっちなんだ?っていうとぼけた感じがいいですね。野呂さんは今回がはじめてで、稽古場が楽しみです。AKB48出身なんですよね。

大木:アイドルですから。野呂さんとは何回かバラエティーで共演していますが、いろいろな球を打てる人だと感じます。バラエティーをやりはじめたときはわかりませんが、途中から迷いがなくなったように見えますね。

三宅:下ネタも平気な人ですよね。

大木:本当に平気で。以前、テレビでたけしさんのモノマネをしながら下ネタを言ったときもしっかりやっていました。今回、三宅さんの演出で喜劇をやることを楽しみにしているそうですが、きっとやるべきことをしっかりやると思います。

三宅:ただ、うちは下ネタはやらないですけどね。下ネタ、客いじりは禁止です。あと、コマーシャル(CM)ネタも。

――そこには矜持があるのでしょうか?

三宅:それらは全部楽なんですよ。下ネタは好きな人は好きだけれど、好き嫌いが分かれますし、CMネタはいまやっているCMの真似をすればいいわけですし、客いじりは、お客様は日常のいやなことを忘れて舞台の世界に入っているのに客いじりをした瞬間に現実に戻されちゃう。お客様に夢を見てもらうためには客いじりをしない、というのを決まりにしています。でも時々はやっちゃうときもあるんですけどね(笑)。

――先ほど大木さんから「東京の笑い」のお話も出ました。「東京の笑い」についてもお話ししていただけると嬉しいです。

大木:僕はいま、51歳ですけれど、僕の年代だと、関西の笑いが東京に馴染んじゃったと言いますか、関西の当たり前が東京の当たり前にもなってしまうほど関西の笑いの勢いが強くなっていて。本来、関西の手法を関東の人が関東でももともとやっていたというような認識でやっていることを感じていました。そんななかで20歳からお笑いを始めたとき、東京ならではの笑いとは何だろうかと悩んだこともあって。そのときに「熱海五郎一座」を観て、こんなふうにおしゃれでカッコいいのが東京の笑いなんだと僕は思ったんです。「軽演劇」という言葉もそこではじめて知ったんじゃないかな。演劇じゃなくて、軽演劇。こんな素敵なジャンルがあるんだ、東京っていいなと。

三宅:「東京の笑い」というと東京の芸人さんの笑わせ方みたいなことになると思うけれど、「東京喜劇」とは昔から浅草にあった「軽演劇」というものの系列になります。以前、萩本欽一さんとお話ししたとき、「三宅ちゃん、もうね、昔の軽演劇を知っている人は全員死んじゃっているから、三宅ちゃんがこれが東京喜劇だって言えば、それが東京喜劇になる。だから頑張ってやり続けてよ」と言われて。ああそうかと思ったのですが、僕が「東京喜劇」と言っているのは、設定で笑わせることですよね。劇団SET(スーパー・エキセントリック・シアター)でやっているダンスと歌とアクションも入れてはいますが、「熱海五郎一座」はボケるときはとことんボケる。ダンスや歌やアクションはレベルの高いものをなるべくやることにして、ボケとの落差が大きければ大きいほどカッコいい笑いになる。それが僕の「東京喜劇」なんですね。さっき、下ネタとCMネタと客いじりはしないと言いましたが、もうひとつ、その人の持ちネタになるべく頼らない。毎回緊張感のある設定の面白さを演じることで笑いが起きるようにしたいな、というふうに思っています。

大木:大事なことですね。

(左から)三宅裕司、ビビる大木

――大木さんの「こんばんみ」が出るのか出ないのか楽しみですね。では最後に、この公演を観たいと思っている人、観ようかなと迷っている人たちにメッセージをお願いします。

三宅:観たいと思っている人はそのままの気持ちで観に来ていただき、観たくない人に向けてのメッセージにしようか。

大木:まだ足を運んだことがない方には、本当にテレビとは違う笑いが味わえます。おしゃれさもあるんですよ。そしてちょっとうるっとくるような場面もあって。本当に素敵な時間を過ごせる一座ですので、まだ気になっているけれど、観たことない方こそ観に来ていただきたいです。

三宅:毎回、爆笑の連続で、歌やダンスもあって、最後は感動する。そういう舞台を目指しています。常に前回よりも面白いものを目指していますから、絶対面白いと思います。さらに今回、ビビる大木くんという新しい風が入っていますからね。演劇を観たことない人が初めて観る作品としては、最高の一座です。最高の東京喜劇を観ていただきたいと思います。

■公演情報
熱海五郎一座 新橋演舞場シリーズ第12弾
『仁義なきストライク~弾かれた栄光と約束のテンフレーム~』
日程:5月31日(日)~6月24日(水)
会場:新橋演舞場(東京都中央区銀座6-18-2)
作:吉髙寿男
出演・構成・演出:三宅裕司
出演:渡辺正行、小倉久寛、春風亭昇太、東貴博(交互出演)、深沢邦之(交互出演)、ビビる大木
ゲスト出演:沢口靖子、野呂佳代
公式サイト:https://www.shochiku.co.jp/play/schedules/detail/202606_atamigoro/

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