吉沢亮が生き抜いた『ばけばけ』錦織友一 橋爪國臣CPが明かす“張り詰めた空気”の舞台裏

 髙石あかりがヒロインを務めるNHK連続テレビ小説『ばけばけ』が現在放送中。松江の没落士族の娘・小泉セツとラフカディオ・ハーン(小泉八雲)をモデルに、西洋化で急速に時代が移り変わっていく明治日本の中で埋もれていった人々を描く。「怪談」を愛し、外国人の夫と共に、何気ない日常の日々を歩んでいく夫婦の物語。

 第95話、松江を去るヘブン(トミー・バストウ)の“見送りに行かない”という選択をした錦織(吉沢亮)が喀血。先週の予告映像でも話題になった、セリフなしの横顔ワンカットシーンが50秒超にわたって映し出された。

吉沢亮の“横顔ワンカット”が意味するものは? 『ばけばけ』制作陣が明かす“予告”秘話

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 制作統括の橋爪國臣は「モデルの西田千太郎さんもそうですが、錦織はすごく優秀なのに、裏ではいろんなことがあって。“不遇の中でどう生きていくのか”をずっと考えながらキャラクターを描いてきて、それが詰まったワンシーンになっていると思います」と、『ばけばけ』ならではの演出を語る。

「いろんな描き方があると思いますが、『吉沢さんのお芝居は、言葉で語る必要がない』と。彼の表情だけで全部を見せられるんじゃないか、という結論に行きつきました。自分の状況をペラペラしゃべるのではなくて、彼自身が思っていること、噛み締めていることをお芝居で出してもらおう。そういった流れから、あのシーンに集結させるように本作りをしていきました」

 同シーンの撮影は、西田千太郎が暮らした屋根裏部屋を模したセットで行われた。橋爪は「とても素晴らしいセットを美術さんが作ってくれた」と絶賛し、「今も松江に西田千太郎さんの家が当時のまま残っていて、その屋根裏部屋が、彼が生活していたであろう場所なんです。忸怩たる思いを抱きながらここで学んでいた。そんな情景が伝わるように、暗い中、窓の光で本に囲まれて勉強しているような錦織さんを描くことにしました」と狙いを明かす。

「美術や助監督がいろいろと準備してくれて、セットの壁には彼の今までの苦労がたくさん飾ってあるんです。その中に入った吉沢さんが、錦織の過去を背負って一点を見つめている。ほとんど映っていませんが、今までの思いだったりいろんなことが書いてあるので、きっとそういったことを受けながら、さまざまな感情を抱いていたんだと思います」

 これまで錦織を演じてきた吉沢が、彼への思いを胸に臨んだワンカット。橋爪は「吉沢さんとは、松江にある西田千太郎さんの家にも一緒に行きました。そこには千太郎さんが書き残した日記や手紙が残っているので、それを見たり読んだりして。その思いに触れてもらったことが、演技の土台やキャラクター作りの参考になっているのでは」と振り返る。

 錦織はヘブンに対してどんな思いを抱えているのか。そして、自分の病を悟り、何を感じたのか。

「視聴者のみなさんもいろんな捉え方ができたと思いますし、この先を楽しみにしてほしいですね。彼はどういう理由で船着き場に行かなかったのか。本当に体調のことなのか、それ以外のことがあったのか。これから先に描いていくので、みなさんにも一緒に思いをめぐらせてもらえたら」と呼びかけた。

 演出を担ったのは、チーフ演出の村橋直樹。撮影当日、橋爪は村橋と吉沢が1、2分間、2人きりで話しているのを見かけたといい、「想像するに、“どのくらい表情で彼の思いを出すのか”ということを相談していたんだと思います」と現場の様子を語る。

「撮影に入ってからは、シーンとしたスタジオの中で、ひたすら吉沢さんのお芝居を見ている感じでしたね。ドラマに使ったのは50秒ちょっとですけど、実際には2、3分撮っていたと思います。心打たれるスタッフがたくさんいたし、少し涙目になっている吉沢くんもいて。張り詰めた空気での撮影でした」

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