『恋の通訳、できますか?』は日韓合作の転換点に 福士蒼汰が刻んだ鮮烈なスパイス

 福士蒼汰が出演する韓国ドラマ『恋の通訳、できますか?』が、1月16日にNetflixで全話一挙配信された。近年増えている日韓キャスト共演作の中でも、本作は、従来の恋愛ドラマとは異なる感覚を生み出している。

 『恋の通訳、できますか?』は、コ・ユンジョン演じる女優チャ・ムヒと、キム・ソンホ演じる多言語通訳士チュ・ホジンの関係を軸に描くロマンティック・コメディだ。そこに福士蒼汰が、日本人俳優・黒澤ヒロ役として加わり、二人の関係に刺激を与えていく。

 日韓の俳優が共演する作品は、国や言語の違いを越えたキャスティングとして、ひとつの潮流となりつつある。二階堂ふみとチェ・ジョンヒョプ主演のドラマ『Eye Love You』(2024年/TBS系)のヒットをきっかけに、小栗旬、ハン・ヒョジュ主演の『匿名の恋人たち』(Netflix)や、1月に放送を開始したばかりの『キンパとおにぎり〜恋するふたりは似ていてちがう〜』(テレ東系)など、恋愛を軸にした日韓合作ドラマが続いている。

 本作もそうした流れの中に位置づけられる一作だが、一歩踏み込んでいるのは、主人公を「通訳」というキャラクターにすることで、言語の違いそのものを物語の推進力として組み込んでいる点だ。本作は冒頭から、その配置の巧みさをはっきりと示す。物語は、イタリアの雄大な景色を背景に、ヒロが、ムヒに想いを告げる場面から始まる。だが、その告白はすぐには成立しない。通訳ホジンが、言葉を訳すことをためらうからだ。開始数分で視聴者は理解する。このドラマが描こうとしているのは、言語の違いを解消する物語ではなく、違いを抱えたまま感情が行き交い、すれ違っていく過程そのものだ、と。そして、その構造を最も鮮やかに体現するのが、福士蒼汰演じるヒロの存在なのである。

 その構造がどのように形づくられていくのか、物語は時間をさかのぼるように描かれる。売れない女優だったムヒは主演を務めたB級映画の思いがけないヒットにより、一躍脚光を浴びることになる。次に出演することになったのは、恋愛バラエティ番組『ロマンティック・トリップ』だ。ロケには、共演者としてヒロが、そして通訳としてホジンが参加することになり、三人の関係は番組を舞台に動き始める。

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