目黒蓮&佐野勇斗が秋ドラマで放つ存在感 『トリリオンゲーム』以降の飛躍をたどる
秋ドラマも終わりに差し掛かるなか、『トリリオンゲーム』(TBS系)でバディを組んだSnow Manの目黒蓮とM!LKの佐野勇斗の存在感が増している。2年前の初共演を経て、2人はどのように成長を遂げてきたのだろうか。
目黒は初の日曜劇場出演となった『ザ・ロイヤルファミリー』(TBS系)で、若き馬主として父親の山王耕造(佐藤浩市)から夢を継承した中条耕一という重要な役柄を託される。一方の佐野は、ドラマ『ESCAPE それは誘拐のはずだった』(日本テレビ系/以下、『ESCAPE』)でゴールデン・プライム帯の初主演を務め、桜田ひよりとともに誘拐犯と人質だった2人が強い絆で結ばれていく過程を見事に演じてみせた。
それぞれの作品で活躍を見せる目黒と佐野が、世界をひっくり返すバディとして活躍する『トリリオンゲーム』は、2025年に劇場版が公開されるなど、いまだに根強い人気を誇っている作品だ。視聴者を惹きつけたのは、1兆ドル“トリリオンダラー”を稼ぐために、壮大なハッタリで前代未聞の作戦を実行する痛快なストーリーだけでなく、性格も武器も正反対のタッグであるハル&ガクのバディとしての魅力に他ならない。
無謀にも思える野心を胸に携えて、ワガママに突き進んでいくお調子者。しかし、天性の人たらしと呼ばれるコミュニケーション能力で、荒唐無稽な嘘を本当に変えていくハルを目黒が「自分と正反対のキャラクター」というほどの豹変ぶりでリアルに落とし込んだかと思えば、気が弱くとも天才プログラマーとしての力を遺憾なく発揮していくガクが、ハルに翻弄される姿を佐野がチャーミングに演じる。どれだけの苦難や裏切りがあっても決して覆ることのなかったハルとガクの友情は、目黒と佐野が互いにリスペクトを込めて作り上げてきた関係性の象徴でもあった。
2人は本作をきっかけにして、映像作品で演じるキャラクターの幅がより広がった印象だ。目黒はドラマ『海のはじまり』(2024年/フジテレビ系)で『silent』(2022年/フジテレビ系)に引き続き、脚本家・生方美久の紡ぐストーリーの重要人物を任された。そして、『ザ・ロイヤルファミリー』で演じる耕一としては、これまで父親が目指していた夢や希望を一心に背負うだけでなく、2代にわたって山王家の秘書を務めてきた栗須(妻夫木聡)と信念をぶつけ合い、ときに衝突しながらも着実に絆を深めていく。
第9話では、レース中の事故で失明の危機に陥ったロイヤルファミリーがもう一度、競走馬として有馬記念を駆け抜けることができるように、フランスにまで飛び立って獣医師の沢渡(市川実日子)に対して「勝つために治してほしい」と懇願する。強情で向こう水なところはありつつも、父親譲りのまっすぐさで沢渡の心を動かした耕一の言葉は、静かな決意が伝わる目黒の声によって重みを増していた。
2026年以降の出演待機作を見てみると、原作モノと呼ばれる実写映像化作品への出演が目立つ。特に『週刊少年ジャンプ』の人気漫画を映画化した『SAKAMOTO DAYS』で主演として演じるのは、史上最強と謳われながらも、運命の人と出会って恋に落ちたことで突如として引退した伝説の殺し屋・坂本太郎。かつての面影がないほど太った姿と、殺し屋として名を馳せていた頃の痩せた姿の両方を演じる難しさはもちろん、コミカルとシリアスがシーンによって交錯するストーリーのなかで、滑稽さとカッコよさを両立させる必要がある。それでも、大胆不敵なハッタリを武器に戦うハルという原作キャラクターを魅力的に演じてきた目黒であれば、『SAKAMOTO DAYS』の映像化においても、現実離れした役柄を全うできるのではないだろうか。