『初恋DOGs』ドッグトレーナーに聞くわんこたちの演技の裏側 キャストとの撮影秘話も

 愛犬たちの一目惚れをきっかけに、“こじらせた”大人たちが恋愛に向き合う様子を描いたドラマ『初恋DOGs』(TBS系)。本作の魅力のひとつとして挙げられるのは、ときに奔放で、ときに飼い主に寄り添うワンちゃんたちの姿だ。

 主人公・愛子(清原果耶)の愛犬、サクラを演じるのは豆柴のmie。愛子の“初恋”の相手である獣医の快(成田凌)の愛犬、将軍を演じるのはゴールデンドゥードルのレオ。2匹のトレーナーである石井敏樹氏に、ワンちゃんたちへの演技指導の裏側や、知られざる撮影中の様子を聞いた。

ドラマの撮影を通じて起きた関係性の変化

ーー将軍を演じているレオさんとサクラを演じているmieさんは、ペットモデルとしてどのくらい活動されていたんですか?

石井敏樹(以下、石井):mieに関しては、昨年末に所属したばかりで、本当にモデル経験もほぼない状態でこのドラマの出演が決まりました。レオも所属したのは1年前なので、まだそんなに長く活動している子たちではないんです。

ーー意外です。ということは、mieさんは『初恋DOGs』がデビュー作にあたるのでしょうか?

石井:そうですね。ドラマのエキストラで一度出たことはありましたが、今回のような大きいドラマは初めてでした。

ーーワンちゃんたちの演技も毎回すごいですよね。特に、第1話で将軍がサクラに一目惚れして駆け寄るシーンが印象的でした。

石井:第1話のシーンは監督さんが気にされていた部分で、どの方法ならできるかを何度も話し合いました。将軍とサクラの“初恋”がドラマの核になるので、犬同士の相性はとても重要な部分でした。

ーーレオさんもmieさんもすごく自然体で、良い意味で演技っぽさを感じませんでした。

石井:mieはもともと自然体のままでできるシーンが多かったのですが、レオの方は将軍としてのお芝居を求められる部分も多かったので、練習を重ねることもありました。

ーー撮影外でも2匹が仲良くしているオフショットを拝見しましたが、もともと相性が良かったのでしょうか?

石井:最初は「喧嘩をしない」ことを優先して組み合わせを考えていました。喧嘩されると一番困るので。当初はお互いそれほど干渉しないという感じだったんですが、一緒に過ごす時間が長くなるにつれて自分から寄っていくようになって、最近は本当に仲良しになってきていました。

ーー石井さんは、動物への演技指導はどのようにされているんですか?

石井:基本的には飼い主さんと一緒にトレーニング方法を考えています。飼い主さんに「こういう動きがあるから、こういう方法で練習してください」とアドバイスすることも多いです。現場ではカメラ位置などで指示できる範囲が変わるので、どの場所でどう演技するかを飼い主さんや演者の方々、現場スタッフさんと相談しながら、2匹を最大限活かせるようにしてもらっています。

ーーワンちゃんに演技指導するうえでの難しさについて教えてください。

石井:例えば、普段ペットとしては吠えさせる必要がないので、わざわざそうさせるというのは犬にも負担になりますし、例えば「じっとして」かと思えば「ついていけ」など、要求される演技が正反対のものだったりするので、バランスを取るのが難しいです。演技についても、人に依存しすぎるのもよくないし、まったく依存しないのも良くない。その辺りの調整が難しいと感じます。

ーーなるほど。反対にどのようなときにこの仕事の喜びや楽しさを感じますか?

石井:やはり形になって皆様に見てもらえたときですね。映像やSNSでの応援を見て「頑張ってよかった」と感じられるのは大きな喜びです。撮影自体はシーンごとなので、出来上がったものを観ると、改めて作品としての良さを実感できます。

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