また、このタイミングで優希の恋敵になりそうな楓（影山優佳）を投入してくるあたりも、『マイダイアリー』の面白いところだ。楓は、広海がアメリカの大学に通っていたときに同級生だった人物で、彼がズタボロになっていた頃をよく知っているらしい。広海が楓に特別な感情を持っていることはなさそうなので、彼女の存在が直接的に2人の関係を引き裂くことはないと思う。

　ただ、広海に自作の問題を渡している姿を見てしまったら、優希が自信を失ってしまうのも無理はない。果たして楓は、純粋に“いい人”なのか？　それとも、“策士”なのか？　影山優佳は、掴みどころのない楓のミステリアスさを、見事に表現していた。

　言葉は、受け取る側によって大きく印象を変えてしまう。たとえば、優希の「広海は特別なんだから。そういう人にしか見えない景色見てほしいなって思ってるよ」という言葉も、受け取る側によっては褒め言葉に感じるだろう。もちろん、彼女も決して広海を傷つけようと思って言ったわけではない。

　しかし、幼いころから特別扱いを受けてきたせいで、普通になりたいと願ってきた広海は、嫌悪感を抱いてしまう。優希は、自分を特別扱いしてこないところが好きだったのに、「なんで、そうやって勝手に一線を引くの？」と。

「人生の歩幅が違う人が一緒にいられるのは、どちらかが立ち止まっているときだけだよ」

　楓に「優しい嘘は、大切な人の背中を押す最後の手段ですから」と言われた優希は、“あったはずの広海の人生”を奪わないために、別れを決意した。「僕にとって、優希もギフトの一部なんだと思う」と言われたとき、素直に嬉しいと言いたい気持ちを抑えて、「わたしは、包み紙とリボンだよ。ずっと取っておくものじゃない。わたしの役目は終わったんだよ」と返した優希。せっかく築いてきた関係性も、ジェンガが倒れるときのように、一瞬で崩れてしまうのが虚しい。

　一体、2人はどうなってしまうのだろうか。楓の存在が、広海と優希の恋にどんな影響を及ぼしてくるのかも気になるところだ。

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■放送情報
『マイダイアリー』
ABCテレビ・テレビ朝日系にて、毎週日曜22:15～放送
出演：清原果耶、佐野勇斗、吉川愛、見上愛、望月歩、坪倉由幸、中村ゆり、勝村政信ほか
脚本：兵藤るり
音楽：小山絵里奈
主題歌：Saucy Dog「くせげ」（A-Sketch）
挿入歌：森大翔「群青日記」（A-Sketch）
企画・プロデュース：清水一幸
プロデューサー：川村未来、藤田洋平、栗生一馬、森田大児
演出：穐山茉由、瑠東東一郎、髙橋浩、田口仁
制作プロダクション：東映東京撮影所
制作著作：ABCテレビ
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