『相棒』神保悟志登場の「ラムネ回」に癒される 懐かしい登場人物が増えるseason22

 2022年に放送された『相棒 season21』(テレビ朝日系)は、“初代”相棒だった亀山(寺脇康文)が“5代目”として約14年ぶりにシリーズに帰還したこともあってか、今思うと右京(水谷豊)と亀山のふたりの場面が比較的多かった。そこからお互いに成長した点や、長い年月を経ても変わらないものが見えてきて感慨深くなったものだ。もちろん、米沢(六角精児)や神戸(及川光博)など懐かしいメンバーの登場もあったが、「この人が出てくるならあの人やこの人は……!?」というちょっと贅沢なモヤモヤを抱えていたのも事実だ。その点、『相棒 season22』(テレビ朝日系)は、前作以上に過去シリーズの懐かしい人たちがフィーチャーされる回が増えている。第5話では、警視庁の内部で警察官の不正を捜査する監察官である大河内春樹(神保悟志)が登場した。

 角田(山西惇)が課長を務める薬物銃器対策課に、所轄から、特殊詐欺の拠点を2度にわたって突き止めるなど、腕利きと評判の桐生(小林亮太)という若手刑事が異動してきた。能力も申し分なく、やる気も満ち溢れている桐生に大河内も一目置いていた。そんな折、右京は亀山とのランチの帰り、とある路地裏のアパートで不審な部屋を発見する。どう見ても空き部屋なのに表札がかかっているなどの状況から、何らかの犯罪に使われている可能性があると考えた右京は、亀山と共に調べ始める。その結果、犯罪グループのアジトを割り出すことに成功し、角田たちと協力して摘発に乗り出すことに。しかし、現場には闇バイト目的の若者だけがおり、そこに指示役の姿はなかった。捜査情報がどこからか漏れていたのでは……という疑惑が浮上する中、なぜか大河内が特命係に桐生の素行調査を依頼してきたのだった。

 大河内は、警察庁から出向しているキャリアであり、勝手な事件捜査を行う特命係の動向にも常に目を光らせている。表情を滅多に変えない、かなり神経質で気難しい人物で、薬瓶から何粒もの白い錠剤を出して噛み砕いている大河内の姿に心配になった人もいるだろう。薬のように見えるあれは実は、大河内の大好物のラムネ菓子。いつもラムネをバリバリ食べている大河内には「ピルイーター」という異名があり、彼にフォーカスがあたる回はファンの間で「ラムネ回」と呼ばれている。そんな大河内の『相棒』シリーズ初登場は2004年放送の『相棒 season2』。そこである事件に巻き込まれた大河内は、右京たちに自分が同性愛者であることを打ち明けている。今でこそ、同性愛をテーマにしたドラマは増えているが、20年ほど前のドラマで扱うにはなかなかに難しく挑戦的である。最近は配信サービスの普及で過去シリーズを観ることもできるので、気になった人はぜひ、この名作を観てほしい。

 職務上、特命係に厳しい態度をとることもある大河内だが、個人的には特命係の能力を高く評価しており、捜査に協力したり、内密に調査を依頼したりなど警察幹部の中では特命係と良好な関係を築いている。そうは言っても、大河内の仕事は警察官が不正をはたらいていないかを調べること。突然、大河内からの連絡を受けた右京と亀山は、まだ内容を聞いていないうちから「亀山くん、何をしでかしたんです?」「俺、何もやってないですよ。右京さんじゃないですか?」「え……!? いや、心当たりありませんね」とオロオロ。大の大人が狼狽える様子になんだかかわいさを感じてしまった。

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