『ちむどんどん』黒島結菜、竜星涼、上白石萌歌、川口春奈、四兄妹の個性が浮き彫りに

 『ちむどんどん』(NHK総合)第13話では、暢子(黒島結菜)たち兄妹が悩みや思いを抱えているのが伝わる回となった。特に、妹たち三人の表情からはそれぞれ異なる感情が感じられた。

 暢子は兄の賢秀(竜星涼)の喧嘩の影響で、自らの就職にモヤモヤした思いを抱えることになる。物語冒頭、謝りに行こうとしない兄への苛立ちから黒島がムッとした表情で淡々と薪を焚べるシーンは、兄に振り回される妹たちを代表してお灸を据えているようにも見え、コミカルで面白かった。

 そんな暢子が、熱を出した歌子(上白石萌歌)の横で思いにふける表情を浮かべていたのが印象深い。家族の前ではおてんばな暢子だが、一人の時間には将来について真剣に悩んでいるのだと分かる。将来を見据えている智(前田公輝)に「みんな大人になるんだね〜」と言葉を漏らした暢子は、物語の終わりに、畑で立ち尽くしながら「うち、本当にあの会社で働きたいのかな……」とつぶやいていた。黒島が見せた悩める表情には、はっきりと見えてこない自分の将来への焦りや「自分は何をしたいのか」「本当にやりたいことは何か」を自問自答する暢子の気持ちがうかがえる。

 良子(川口春奈)は、母の優子(仲間由紀恵)に黙って、新しい服を買ったようだ。良子が家庭の経済状況と自分がやりたいことの間で常に葛藤しているということは、川口の気まずそうな表情や所作から伝わってくる。だが、同僚から名護へ行こうと誘われたとき、新しい服を一人でこっそり見つめているときに見せたウキウキとした表情はとてもかわいらしかった。自由奔放な賢秀とは対照的に、真面目でしっかり者の良子だが、時折少女のように素直な感情を見せる。家族に後ろめたい気持ちを抱くことなく、のびのびと遊びに出かけられるようになってほしいものだ。

 そして歌子。歌子は智が来ていることを知り、身なりを整える。だが、そんな歌子が智に聞いたのは「好きなんでしょ?」「暢ネーネーのことが」という単刀直入な質問だった。あからさまに動揺しながらも「それは、全然、見当違い!」と否定して帰っていく智を見送った後、歌子は唇を尖らせて「バカ」とつぶやいた。上白石が智に見せた無邪気な笑顔はとても愛らしかったが、智に想いが伝わっていないようで少しもの悲しい。運動会で智から手作りの一等賞のメダルを受け取ってから、歌子は智を想っている。大事そうにメダルを握りしめる上白石の横顔に、胸が締め付けられるような切なさを感じる。

■放送情報
連続テレビ小説『ちむどんどん』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
主演:黒島結菜
作:羽原大介
語り:ジョン・カビラ
沖縄ことば指導:藤木勇人
フードコーディネート:吉岡秀治、吉岡知子
制作統括:小林大児、藤並英樹
プロデューサー:松田恭典
展開プロデューサー:川口俊介
演出:木村隆文、松園武大、中野亮平ほか
写真提供=NHK

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