『おちょやん』「わしを笑かしてみい」の真意が 星田英利演じる千之助の秘めた思い

「喜劇役者は笑わしてなんぼや。わしを笑かしたら、その劇団に入ったるわ」

 万太郎一座に対抗できる新しい劇団に、千之助(星田英利)の参加は必須だった。座長である一平(成田凌)から漆原(大川良太郎)に告げられた「あなたには辞めてもらいます」「俺の作る喜劇に女形は出しません」という新しい喜劇を作りたい思いの一方で、『おちょやん』(NHK総合)第44話では、千之助の20年前の過去が明かされる。

 20年前と同じ店、同じ席で一人酒を嗜む千之助。瞬間的にインサートされる皿が割れる音を起点に、20年前の回想シーンへと移り変わっていく。それは、千之助が万太郎(板尾創路)とともに「須賀廼家兄弟劇」として劇場を拍手と笑い声で大いに沸かしている様子だった。新聞には「須賀廼家兄弟劇が大活躍」という劇評が載るほどに。

 しかし、突如として言い渡された須賀廼家兄弟の幕引き。万太郎は新しく須賀廼家万太郎一座を旗揚げ。天狗になっていた千之助は万太郎から見限られてしまったのだ。

 そんな折に現れたのが、一平の父で初代・天海天海(茂山宗彦)。千之助を拾った恩人となるエピソードである。回想とはいえ、33歳の若さで亡くなる第8話以来、久々の登場だ。店に入るや否や天海は千之助に「わしを笑かしてみい」と試してみせる。

 千之助には偶然起こった地震も笑いに変えるユーモアが溢れていた。天海にその腕を認められた千之助は「一緒にやらへんか。万太郎一座を超える、道頓堀一、いや日本一の喜劇一座を」と正式にオファーを受ける。後の天海天海一座の始まりの瞬間だ。