『DIVER-特殊潜入班-』安藤政信が見せる“大人の余裕” D班それぞれが信じる正義

 福士蒼汰と野村周平の5年ぶりの共演作として話題の『DIVER-特殊潜入班-』(カンテレ・フジテレビ系)。第3話では7年前に起きた事件の関係者家族が標的になる連続誘拐事件が起きる。その関係者の中には「潜入捜査官チーム」、通称D班班長の伊達(安藤政信)も含まれ、彼の娘にも魔の手が忍び寄る。

 安藤が父親役を演じるのは本作が初めての試みになるようだ。確かに、安藤と言えば、観る者の心をざわつかせる圧倒的存在感、大人な色香の印象が強い。『テセウスの船』(TBS系)で、小学生ながら無差別殺人事件を起こした張本人であるみきおの成人後の姿を演じ、凶悪犯たるサイコパスさと、一方で歪んだ愛情ながらも純粋に小学生の頃からのクラスメイトを想い続け支える献身さという相反する二面性を矛盾なくその身に宿していた。佇まいから“ただものじゃない”雰囲気を纏い、“訳あり感”を漂わせ、そう多くはない出番の中で、その場に馴染んでいるようでフィットしきれていない尾を引く“異物感”、“違和感”、“不協和音”さ、“不気味さ”を後味悪く残していた。

 また、映画『闇金ウシジマくん ザ・ファイナル』では、あのハマり役で唯一無二の主人公・ウシジマ(山田孝之)と対峙する最大の宿敵である三兄弟の長男・鰐戸一役を熱演。そもそも山口雅俊監督から“山田孝之と互角以上に渡り合える俳優”というオーダーがあった際に、白羽の矢が立ったのが安藤だったようだ。

 インタビューなどで20代の自身のことを「尖っていた」と振り返る安藤だが、デビュー作『キッズ・リターン』から20年以上たった今、鋭さや反骨心、危うさやアンバランスさなど、当時の面影をふとした時に覗かせつつも、そんな時代があったからこその異様なまでの“落ち着き”、“丸くなった感”、大人の余裕も兼ね備えられているのだろう。そういう安藤だからこそ、本作で取り扱い注意の若きダークヒーロー・黒沢兵悟(福士蒼汰)と何かのっぴきならない事情を抱えているであろう佐根村将(野村周平)の上司である伊達役が妙な説得力を持ってして務まるのだ。

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