林遣都の“かわいいマスター”姿も見納め 『スカーレット』次週より“本編”再開も武志に忍び寄る影
『スカーレット』(NHK総合)第21週「スペシャル・サニーデイ」では、信作(林遣都)と百合子(福田麻由子)が中心の長い長い1日が描かれた。
ヒロインである喜美子(戸田恵梨香)が回想でしか登場しない第21週は、言わば信作と百合子のスピンオフだ。大野(マギー)と陽子(財前直見)が孫の桜と桃のを連れて有馬温泉に出かけ、カフェ・サニーの店番を任される2人。“かわいいマスター”の信作が1日店主を務めるサニーには、敏春(本田大輔)と照子(大島優子)が来店し、さらには百合子の中学の同級生・近藤(中山義紘)が登場。信作のネチネチやきもち攻撃が炸裂し、百合子はサニーを後にし、ホットコーヒーも淹れられない信作が忙しい店で孤軍奮闘することとなる。
信作と百合子が中心にあることで、これまでよりもさらに明るい雰囲気の第21週。だが、描かれているのは、第20週「もういちど家族に」の延長線上にあるテーマ「夫婦の会話」だ。敏春と照子は、結婚して25年、銀婚式を迎えていた。しかし、いつも謝ってばかり、照子の尻に敷かれてばかりの敏春はいつの間にか、本音を心の内に隠してしまっている。「お芋固かったなぁ」「そうか。気をつけるわ」「ありがとうな」。そこにあるのは、ひとりよがりではない、相手を思いやった会話。信作もサニーで1人になり、百合子の大切さを身に沁みて感じることで、「これからもよろしゅうたのんます」「俺が生まれて初めて好きになった、一番目のたった1人の女」と素直に言えるようになった。
これは、喜美子と八郎(松下洸平)の2人にも言えることだ。喜美子が“男と女”の関係を諦め、女性陶芸家としての夢を選んだあの頃。段々と夫婦の会話は少なくなっていた。2人が改めて新しい関係性を築くことになったのは、人生の先輩であるアンリ(烏丸せつこ)の後押しもあるが、すき焼きを囲んで明かした「喜美子の白髪が増えてきた」そんな話題が、夫婦の会話のきっかけにはちょうどよかったのかもしれない。