カンバーバッチ主演舞台『ハムレット』の評価は? 主要各紙のレビューをチェック

 イギリスBBC製作のテレビドラマ『SHERLOCK/ シャーロック』のシャーロック・ホームズ役で人気を博し、最近では映画『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』でアカデミー賞主演男優賞にノミネートされるなど、本国イギリスはもちろん、ここに日本でも高い人気を誇っているベネディクト・カンバーバッチ。その彼が主演することで注目を集めている舞台『ハムレット』の本公演が25日よりロンドン、バービカンにてスタートし、イギリスの主要各紙のレビューが一斉に解禁された。

 昨年8月、チケットが発売された時点で、一年以上先の公演チケット約10万枚(オンライン発券分)が一日で完売するなど、壮絶なチケット争奪戦が繰り広げられたことも話題となった、カンバーバッチ版『ハムレット』。その評価は、星4つから2つまで(星5つが最高)、きれいに分かれる結果となった。

 まず、星4つの高評価を下した「The Telegragh」紙の劇評家は、「カンバーバッチは、彼自身のやり方によって、ダニエル=デイ・ルイス、ジュード・ロウなど、近年ハムレットを演じた役者に並ぶ存在となった」と、カンバーバッチの演技を評価。ただし、「5つ星のハムレットが、3つ星のショーのなかに閉じ込められている」と演出家に対して苦言を呈している。(参考:http://www.telegraph.co.uk/theatre/what-to-see/benedict-cumberbatch-as-hamlet-barbican-review/) 

 一方、2つ星と最も低い点をつけた「Guardian」 紙の劇評家は、「カンバーバッチはハムレットを演じる際に必要な“品の良さ”を持っているものの、演出家による美術装置や台詞の翻案など “生煮えのアイデア”が、この舞台を窮屈なものにしている」と評論。(参考:http://www.theguardian.com/stage/2015/aug/25/hamlet-barbican-review-benedict-cumberbatch-imprisoned-prince) 

 4つから2つまで星の数は分かれたものの、カンバーバッチの演技自体は、前評判や期待の通り概ね満足のいくもので、リンゼイ・ターナーの演出と美術、そして台詞の翻案には、いささか不満が残る ――というのが、大方の見方のようだ。しかし、そんな必ずしも手放しで「絶賛!」とはいかない批評が並ぶなか、ひとり惜しみない賛辞を贈る人物がいたと「The Gurdian」が報じている。ベネディクトの母であり、イギリスの名優であるワンダ・ヴェンサムだ。「彼は本当に素晴らしいハムレットだったわ。私と夫は、息子がこの舞台に立ったことを、とても誇りに思っている。彼は実に立派に育ってくれた。それは私にとって、本当に驚くべきことなのよ」。ちなみに、ワンダの夫であり、ベネディクトの父であるティモシー・カールトンもまた、イギリスの名優として広く知られた存在である。(参考:http://www.theguardian.com/culture/2015/aug/26/benedict-cumberbatch-is-a-bloody-good-hamlet-says-his-mum?CMP=twt_gu

 舞台『ハムレット』は、10月31日まで12週間限定上演予定。ちなみに、カンバーバッチの次の出演映画は、ジョニー・デップ主演の『Black Mass(原題)』。こちらは9月2日から始まるヴェネチア映画祭で、お披露目される予定だ。

(文=編集部)