吉田松陰さんは強烈な「共鳴」を起こしている

ーー本書は野球選手などアスリートの方々に推薦したいとのことでした。

川﨑：この本はシンプルで現代風にわかりやすくなっているので、アスリートの人たちが、試合前に読むのにちょうどいいと思います。すごく腑に落ちるところをたくさん見つけられるでしょう。やはり本を読むことは大事なんです。初のプロ野球でホークスに入団した時にも、よく先輩に「本を読みなさい」と言われました。本というのは人と同じで、出会うべきタイミングで、出会うべくして出会います。

　僕は小さい頃から計算は苦手でしたが、国語は大好きだったんですよ。何かを伝えるという表現力じゃないですか。国語の授業を聞いていて、そこに登場する人物を想像することがめちゃくちゃ楽しかったんです。

ーーその一方で、アスリートに限らず、一般読者の幅広い層にも響く本だと思います。

川﨑：吉田松陰さんの思想と聞くと、堅苦しく難しそうだという印象を持つかもしれません。でも、この本はとても読みやすく、手に取りやすい内容なんです。もちろん、何かにチャレンジしたい人が自分に喝を入れるために読むのもいいと思いますが、そういう人だけじゃなく、自分の人生になんらかポッカリ穴が空いたような思いを抱いているような人にも読んでほしいなと。

　例えば、大人になって今の人生にある程度満足しているけれど、若い頃に好きなことを追いかけていた頃の情熱が忘れられないような人。特に結婚し家庭もできると、子どものために自分の思いを後回しにすることもあるでしょう。でも、男性でも女性でも、誰でも一人ひとりの人生を楽しむことができる。そうしたヒントを与えてくれる本だと思います。

ーー吉田松陰はわずか30年の生涯でしたが、現代人も学ぶことが多いですね。

川﨑：吉田松陰さんは短い人生だったかもしれませんが、今でも多くの人の心を打つ言葉を残している。生き方がつながっているんですよね。そこで強烈な「共鳴」を起こしている。

　もしかすると吉田松陰さんは、今の人が受け取るような意味で書いたわけじゃないかもしれない。天国で「そんな風に書いたわけじゃないぞ」と言っているかもしれない（笑）。でも「共鳴」とはそういうものなんですよ。100%事実でないとしても、確実に何かが伝わっていて、いろいろな化学反応を起こしていく。受け取った人は、イレギュラーで予定変更だらけの新たな動きを生んでいく。僕はそんな「共鳴」しかないと思っているんです。

■書籍情報
『覚悟の磨き方 超訳 吉田松陰』
著者：池田貴将
価格：1650円
発売日：2013年5月25日
出版社：サンクチュアリ出版

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