2023.05.03 08:00

漫画ライターちゃんめい厳選【推しの子】ヒットに続く作品は？「推し」や「アイドル」がテーマのおすすめ漫画3選

文＝ちゃんめい

TVアニメがスタートし、ますます勢いを増す『【推しの子】』（赤坂アカ / 横槍メンゴ）。もしも“推しの子”に転生したら......そんな斬新な設定もさることながら、芸能界を舞台に繰り広げられるサスペンス、ミステリー、恋愛など、衝撃的かつ先の読めない展開が見事な脚本と芸能界の裏事情を詳らかにする内容で話題を集めている。今回は、そんな『【推しの子】』に夢中な方におすすめしたい、『DMMブックス』でおトクに読める「アイドル」や「推し」がテーマの作品を紹介していく。

今だけお得なキャンペーン中！『DMMブックス』の漫画を読む

アイドルという華やかな世界の「闇」を描く　
『私のアリカ』藤沢もやし / 隈屑。

【試し読み】『私のアリカ』をチェック！

　全ての始まりは、アイドルグループ「りりかるトリック（通称・りりトリ）」の人気メンバー・真宮アリカの失踪事件。熱狂的なファンによる犯行かと思いきや、怪しいのはりりトリの運営、そしてメンバー！？.......そんな失踪したアリカの真相を探るために、彼女の親友である宮嶋ナナは、りりトリの新メンバーオーディションに参加し、グループに潜入することを決意する。

　事件の真相を追い求めてアイドルを目指すという超王道な芸能界×ミステリ展開。けれど、本作のユニークな点はまずグループに潜入するまでにある。なぜなら新メンバーオーディションの過程がとんでもなくハードなのだ。例えばファンを獲得するために、炎上のリスクを抱えながらもSNSでの自己発信やアピールを欠かさず行ったり、時には同じオーディション生の間で妨害が行われることも。決してステージ上では見えないアイドルを目指す少女たちの葛藤、そして熾烈な戦いが本作には詰まっており、その様子からはまるでデスゲームさながらの緊迫感を覚えてしまう。

　アイドルという華やかな世界の裏にある人気メンバーの失踪事件、そしてその世界を目指す少女たちの間でうごめく闇。「光」ではなく、「闇」の部分にスポットライトを当て、親友を助けるべく奮闘するナナ、新メンバーを目指す少女、“推し”への忠誠を誓うファンを描く…….。それぞれの戦いから目が離せない。

推しとは一体何か？　緊迫するサスペンス展開に目が離せない
『推しが辞めた』オガワサラ

【試し読み】『推しが辞めた』を早速チェック！

　タイトル通り、ある日突然推しが辞めてしまうという“推しの喪失”から始まる本作。主人公は派遣事務で働くかたわら、推し活に必要な費用をデリヘルで捻出するなど、推しの男性アイドル・ミクに全てを捧げるみやび。そんな彼女の人生はミクの突然の脱退ニュースによって一変していく。

　推しのイベントに当選した、推しと目があった......そんな推し活の喜びを圧倒的な解像度と緻密な筆致で描く一方で、自分の収入以上にお金を使ってしまうなど、決して楽しいだけではない推し活の薄暗い一面を描く本作。そんな推し活への共感を楽しめるところが本作の魅力でもあるが、注目すべきは回を追うごとに緊迫する巧妙なサスペンス展開。

　なぜ推しは脱退したのか？　そもそも推しの本当の姿とは？.......推しの脱退を受け入れることができず、真相究明に向けて行動を起こすみやび。だが、真相に近づくにつれて“推し”が課せられているもの、その背景にある芸能界の闇に直面することになる。

　果たして推しとはなんなのか、推す側との間には何があるのか？　本作を読んでいると、そんな推しを巡る様々な問いへの答えが見つかるかもしれない。

両極端のアイドルがタッグ？　ギャグ&胸アツの展開がクセになる
『神クズ☆アイドル』いそふらぼん肘樹

【試し読み】『神クズ☆アイドル』をチェック！

　つい華やかな印象を抱いてしまう芸能界。しかし、光あるところに影あり......とでもいうべきか、昨今では芸能界の闇にフォーカスしたサスペンス系の漫画が数多く登場している。けれど、思いっきり笑えるギャグ系漫画も豊富であることを忘れてはならない。なかでも『神クズ☆アイドル』は笑えるだけではなく、アイドルのサクセスストーリーとしての面白さ、胸アツ展開が詰まっている魅力的な作品だ。

　主人公は、顔は良いのに、歌わない踊らない、ファンサしない.......全くやる気のないクズアイドル・仁淀ユウヤ。そんな彼は、お金のためだけにアイドルデビューを果たしたので、マネージャーはもちろんファンに何を言われてもやる気が出ない。そんなある日、事務所からクビを宣告されてしまうが、不慮の事故で亡くなった女性アイドル・最上アサヒの幽霊と出会う。

　死後もアイドル活動をしたい......そんなアイドルの鑑というか、まさに神アイドルなアサヒ。ユウヤはアサヒに憑依してもらい、時に楽をしたり、刺激をもらいながらアイドル界の天下を目指すことに。亡き神アイドルと、生きているクズアイドルがタッグを組むという異色すぎる展開ながら、ユウヤがアイドルとして成長していく姿はもちろん、アサヒが説くアイドルメソッドは内容は読み応えがあってとにかく面白い。また、ユウヤを推すファンたちの言語化能力というか、秀逸な会話劇がクセになる。ページ、いやコマの隅々まで読みたくなる作品となっている。