“音楽”には、時代性と歴史的な背景が存在する。それは“ファッション”についても同様であり、音楽とファッションは、いつの時代においても切り離すことができないカルチャーである。

　青野賢一による『音楽とファッション　6つの現代的視点』（リットーミュージック／7月23日発売）は、そんな音楽とファッションが邂逅し、ムーブメントやトレンド、それらを代表するアーティストの姿を通して、現代社会の問題を考察した本である。

　著者の青野賢一は、株式会社ビームスにてPR、クリエイティブ・ディレクター、〈BEAMS RECORDS〉のディレクターなどを務め、現在は独立。音楽、ファッション、映画、文学、美術といった文化芸術全般を活動のフィールドにする文筆家、DJ、クリエイティブ・ディレクターである。　
　
　本書は、これまでにさまざまな媒体で青野賢一が執筆してきた「音楽」と「ファッション」に関する記事を大幅に加筆修正し、書き下ろした原稿を加えてまとめられた一冊である。

　本書の特徴は、音楽とファッションの歴史を解説する内容ではなく、現代的な視点から、映画や文学にも接近し、音楽とファッションの相互作用を鮮やかに考察しており、現代に通底している問題意識を提示する1冊となっている。

　カバーデザインは、『VOGUE JAPAN』、『装苑』といった雑誌の誌面や書籍の装画、official髭男dismやPerfumeといったミュージシャンのアートワークなど、多方面で活躍するコラージュ作家のMIDORIが担当。古い雑誌や紙物を素材にハサミと糊を使ってコラージュし
たMIDORIらしいデザインとなっている。

　本書のおもな登場人物は、イエロー・マジック・オーケストラ、カート・コバーン（ニルヴァーナ）、クルアンビン、ジョン・バティステ、セックス・ピストルズ、ちゃんみな、デヴィッド・ボウイ、BTS、ビョーク、ビリー・アイリッシュ、ボーイ・ジョージ（カルチャー・クラブ）、ポール・ウェラー、ボブ・マーリー、マイルス・デイヴィス、リナ・サワヤマ、レディー・ガガ、ローリング・ストーンズなど、新旧問わずに幅広く有名ミュージシャンが紹介されている。音楽とファッションについての新たな視点や考察を得られる内容の一冊と言えるだろう。

■著者プロフィール
青野賢一（あおの・けんいち）
1968年東京生まれ。株式会社ビームスにてPR、クリエイティブ・ディレクター、〈BEAMS RECORDS〉のディレクターなどを務め、2021年に退社、独立する。音楽、ファッション、映画、文学、美術といった文化芸術全般を活動のフィールドに文筆家／DJ／クリエイティブ・ディレクターとして活躍している。著書に2014年の『迷宮行き』（天然文庫／BCCKS）がある。https://twitter.com/kenichi_aono

■書誌情報
『音楽とファッション　6つの現代的視点』
著者：青野賢一
定価：本体2400円＋税
発売：2022年7月23日
発行：リットーミュージック
商品情報ページ：https://www.rittor-music.co.jp/product/detail/3121317108/