また、単に「いいヤツ」なだけではないのが千冬の魅力でもある。つらい経験を経てきたからだろうか。持って生まれたものだろうか。千冬には包容力のようなものがある。例えば武道の目線で見ると、千冬は“理想の彼氏像”のようにも思える。「血のハロウィン」や「関東事変」では、武道が敵の真髄にたどり着くまで体を張って守っていたり、現代で稀咲に殺されそうになっても「東卍を頼むぞ」を身を挺して武道を守ったり。さらに、武道の意見や気持ちを否定せず、受け止めた上で背中を押すような発言をしている。男らしさの中にも優しさが感じられ、女性人気が高いことも納得だ。

　本誌では高校時代のバイト先がペットショップと判明。高校生活を満喫している様子が描かれていた。周りを巻き込んではいけないと判断した武道により、登場回数が少なくなっている千冬。しかし、武道がやろうとしていることを知っている千冬が動かないはずがない。きっとのこの先、再び深くストーリーに関わってくるタイミングがあるはずだ。その時はきっと持ち前の男らしさと優しさを発揮し、また新たな名言を生んでくれるのではないだろうか。そう信じて止まないほど、松野千冬というキャラクターは魅力的なのである。