Vaundy、藤井 風、Mrs. GREEN APPLE、back number……“旅”モチーフ楽曲が映し出す人生の機微
“旅”をテーマにした楽曲は少なくない。人生を“旅”になぞらえた歌には、未知へ向かう高揚感や立ち止まるときの迷いなど、多彩な心情が描かれている。
9月30日に配信リリースされたVaundyの「Destiny Journeys」は、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンの25周年テーマソングとして書き下ろされた。高らかに鳴るホーンセクションをはじめ、華やかなサウンドはまさに節目を迎えたパークの祝祭感を閉じ込めたよう。歌詞は、パークが掲げる“Discover U!!!”というテーマにあわせて、「自分を見つけるための旅」をイメージして綴られたという。未知なる場所へ向かうことは、好奇心と恐怖心を同時に抱くもの。だが、楽しい未来がすでに待っていると考えれば、扉を開けることも少し怖くなくなるかもしれない。〈もう僕ら疾うに秘密の扉/彼らが僕を待ってる/みたいだ〉という明るいメッセージが、一歩踏み出す勇気をくれる。
Mrs. GREEN APPLEの「JOURNEY」は、2017年発売の2ndフルアルバム『Mrs. GREEN APPLE』に収録された楽曲だ。ポップなサウンドに乗せて歌われるのは、知らないことや場所に胸を躍らせる気持ちと、そこへ向かうには〈君〉という大切な存在が必要だということ。〈どこへいく?〉〈なにをする?〉〈なにが見える?〉と繰り返される問いかけが、今いる場所、そしてそこから広がる多彩な未来を聴き手に想像させる。やがて歌詞は〈知らない所まで君といこうか〉と帰結。「知らない場所でも、大切な人と一緒なら面白いことに出会えるはず」という期待を感じさせると同時に、「一緒にこの先も楽しもう」と、彼らがこちらに手を差し出すようにも聴こえてくる。
藤井 風の「旅路」で描かれる“旅”は、過去から現在、そして未来へと続いていく人生そのものだ。ノスタルジックなサウンドに過去を振り返るような歌詞、すべてを愛おしく抱きしめるような優しい歌声が、まるでアルバムを1ページずつめくるように、私たちがこれまでに歩んできた日々を静かに見つめ直させる。時代はどんどん移り変わっていくし、生きていれば迷うこともたくさんある。それでも、〈僕らはまだ先の長い旅の中で〉あって、この曲では〈目にしてきた/手に触れてきた/全てに意味はあるから〉と歌われる。立ち止まる時間も、遠回りも、人生という長い旅の一部であり、無駄なことはないのだと思わせてくれる一曲だ。
back numberの7thアルバム『ユーモア』に収録された「Silent Journey in Tokyo」は、ここまでの3曲とは少し毛色の異なるナンバーだ。コロナ禍で制作された曲だといい、タイトルの“Journey”が示すのは華やかな冒険ではない。〈スマートフォンをどっかに投げ飛ばして/夕暮れ羽田発で飛んだなら〉という歌い出しが象徴するように、閉ざされた場所にいる息苦しさと、そこから出ていきたいのに動けない心の揺れがにじんでいる。出口の見えない心情を綴った歌詞に軽快なグルーヴが寄り添うことで、痛みはより生々しく響く。どうしようもないやるせなさを抱えながら生きるなかで、この曲に救われる人も少なくないだろう。
タイトルに“Journey”“旅”を掲げながら、まったく異なる心情を描いた4曲。ふと何かに迷ったとき、それぞれの楽曲が描く景色が私たちの行く先を照らしてくれるかもしれない。