マイケル・シェンカーらレジェンドが大集結! 『FULL METAL JAPAN』主催者が語る、今メタルフェスを新設した理由

 MICHAEL SCHENKER GROUP、Stratovarius、POWERWOLF――世界のメタルシーンを長年牽引してきた強者たちが集結する、新たな祭典『FULL METAL JAPAN』が、10月24日と25日にぴあアリーナMMで開催される。世界最大級のメタルフェス『Wacken Open Air』のサポートを受け、ハードロック/ヘヴィメタルの熱狂を日本へと届ける注目の2日間だ。

 なぜ今、日本で新たなメタルフェスを立ち上げるのか。『FULL METAL JAPAN』を通して、日本のメタルファンに何を体感してほしいのか。フェスを主催する東京音協の山本聡氏と三浦由美氏に、その誕生の背景からラインナップに込めたこだわり、そして未来への展望まで話を聞いた。(編集部)

RAGEに帯同して『Wacken Open Air』へーー創始者ホルガー・ヒューブナーに直談判

ーー『FULL METAL JAPAN』がなぜここ日本で開催されることになったのか、その理由を説明いただけますか?

山本聡(以下、山本):私はコンサートプロモーターとして長く仕事をしてきたので、ある種の集大成みたいなイベントをどこかでやりたいなと考えていたんですけど、実際問題どうやってやるのかを手探りしていたところがあって。

三浦由美(以下、三浦):私もコンサートプロモーターとして働いてきて、山本はプロデューサー、私は海外渉外という形で、かれこれ25年ぐらい一緒に仕事をしてきたんです。今までヘヴィメタル系アーティストをたくさん招聘してきたものの、実は1回もパッケージ公演を行ったことがなくて。ところが2年前、「東京音協でも海外アーティストのフェスをやったらいいんじゃないか」と上の人から言われて、「だったら、視察として『Wacken Open Air』(以下、『Wacken』)に行かせてくれ!」とお願いして、山本と2人で行かせてもらえたんです。

ーー『Wacken』にはそれまでも行ったことはあったんですか?

三浦:いえ、それが我々にとって初めての『Wacken』で、知らない地に飛び込んでいくような感覚でした。でも、これまでの10数回招聘してきたRAGEがそのとき出演していて、ちょうど『Wacken』の前に来日したときにその話をしたら、「だったら僕らのツアーメンバーとして来ればいいよ」と言ってくれて。RAGEのピーヴィー(・ワグナー / Vo, Ba)は『Wacken』創始者のホルガー(・ヒューブナー)と仲が良いのもあって、「全部僕らがケアするから」と言ってくれて、それで安心して行くことになりました。

 それで、2人で恐る恐る行ってみたんですが、アーティストやメディア関係者、ブッキングエージェンシーが滞在するグリーンエリアという場所がバックヤードにあって。そこにステージが2つくらいあって、テレビステーションやラジオ局、記者会見室から、床屋やタトゥショップまである、すごく洗練されたエリアなんですけど、歩くたびにAcceptやPRIMAL FEARなど、今まで仕事で関わったアーティストと会って、みんな我々を歓迎してくれたんです。そのとき、2人の間で「こういうフェスを日本でやりたいね」と意見が一致して。「こんなに知ってる人がたくさんいるんだから、簡単にブッキングできるじゃん」と思って、それで「ホルガーに会いたい」とお願いしたんです。

山本:実は、ホルガーとは20年くらい前に一度、顔を合わせていたんです。

三浦:2006年にマイケル・シェンカーを我々……当時は東京音協ではなくザックコーポレーションという会社の招聘でツアーをすることになったんです。そのときのツアーがとにかく大変で、中野サンプラザで3曲だけ弾いてギターを投げて終わるという、伝説の公演があったんですね。

ーーありましたね。よく覚えています。

三浦:実は、その当時のマイケルのマネージャーがホルガーだったんです。2006年のツアーは本当に大変なことがいろいろあったんですけど、翌年に振替公演も実現して。以降は定期的に日本にも来てくれて、彼の調子も右肩上がりで復調していった。ホルガーとはそういう苦楽をともにした間柄でもあったわけです。

 そのホルガーと『Wacken』で再会したら、我々のことをちゃんと覚えていてくれて、大歓迎してくれたんです。それで「私たち、すごいアイデアがあるから、時間を作って聞いてくれない?」と伝えて、翌日にホルガーと彼の相棒であるトーマス(・イェンセン)に「日本でもこういうフェスをやりたいと思うんだけど、協力してくれないかな?」と相談したら、すぐに「君たちだったら信頼できるし、ちょうどアジアでもローンチしたかったから、いいよ!」と快諾してくれて。ただ、ホルガーとトーマスの2人で800人規模から始めた『Wacken』も、今やいろんな資産家が携わっていて、非常に大きなビジネスとして動いているため、正式にGOが出るまでに約1年かかってしまいました。

ーーなるほど。

三浦:もともとホルガーとトーマスはただの音楽好きで、自分の町でメタルフェスをやりたいという熱意だけで『Wacken』をスタートさせた。最初は変にビジネス色が強くなくて、どちらかというと町おこし的なものだったと思うんです。でも、徐々に規模が大きくなるにつれて、設備の充実も求められるし、そのためにはお金も必要になり、いろいろなスポンサーが関わるようになる。長く続けるためには、そういったことも大切になることも理解できるので、本当に好きじゃないとここまで続けられないと思いますよ。

 加えて、ドイツという独特の文化やマーケットシーンのおかげも大きいと思っていて。特にヘヴィメタルという特殊なジャンルにおいて、日本のマーケットでは限界があると思うんです。我々は今50代ですが、同世代の皆さんは若い頃にヘヴィメタルが世界的にヒットしていた時代を経験しているし、日本でも洋楽メタルのCDがヒットしていた時代を知っている。そんな同世代の人たちは今、生活に少し余裕が出てきたことで懐かしいあの頃を思い出して、情熱を取り戻したいと思っているんじゃないかと感じていて。そんな皆さんにもう一度、ヘヴィメタルを通じてエンターテインメントを見直してもらいたい。皆さん、単独公演には結構足を運んでいると思うんですが、フェスとなると野外だったりオールスタンディングだったりで、敷居の高さを感じているかもしれない。でも、『FULL METAL JAPAN』はぴあアリーナMMという屋内会場で、全席指定。ある種、大人向けの遊園地という感じで、皆さんに気持ちよく、疲れずに楽しんでいただけたら嬉しいですね。

山本:ぴあアリーナMMはキャパ的にも8〜9000人規模なので、意外とステージを近く感じられますし、場所的にも東京から行きやすいし、地方から新幹線や飛行機でも行きやすい。今回は1日5バンドと、フェスとしては出演アーティスト数が少ないかもしれませんし、1ステージ制なのでセットチェンジの時間も結構あるんですが、そのぶん1バンドの演奏時間を長く取っていたり、セットチェンジの時間も楽しめるような仕掛けもたくさん準備していて。

三浦:フードに関してもこだわりを持って、美味しいドイツ料理とかお酒をゆっくりと楽しんでもらえるように、キッチンカーとかも入れていますし、セットチェンジの間には今年の『Wacken』で撮ってきた、いろいろなアーティストのインタビュー映像を流すことにもなっていて。

山本:ウリ・ジョン・ロート、Masterplanのローランド・グラポウ、Def Leppardのジョー・エリオット、元Arch Enemyのアリッサ・ホワイト=グラズ、Sabaton、Black Label Societyのザック・ワイルドなど、結構な人数のインタビューを、大ボリュームでがっつり撮ることができました。

三浦:ホルガーとトーマスの長いインタビューも撮りましたし。それを今、プロデューサーに編集してもらっているんですが、すごくいい感じに仕上がっているので、『FULL METAL JAPAN』だけの特別なプレゼントとして楽しんでいただきたいです。

山本:あと、奥村裕司さんという、『Wacken』に2〜30年ずっと行き続けている方が初期の頃から写真を撮りためているので、その写真を使わせてもらって、「昔は畑しかないようなところから、今はこんなに大きくなったんだよ」とお客さんにも知っていただきたいなと思っているところです。

関連記事