亀梨和也、9年ぶりのソロツアーで新たな航海へ “変わらないもの”と“新しいもの”を携えた『FROM HERE』
“濁りのないエンターテインメント”を届け続ける覚悟
終盤のブロックでは、アルバム収録楽曲を中心に、ダンサー・バンドと畳みかけるようなパフォーマンスで会場の熱気をさらに高めていく。ハットを深く被り、伏し目がちな佇まいで、終盤とはいえ衰え知らずなボーカル力を発揮。「Diamond」では軽やかに階段を駆け上がり、雰囲気を一変。ミラーボールが煌めく中、より声量を上げて歌い上げた。
「ラストスパートだ、騒げー!」で始まった「’O sole mio」では、軽快なリズムで会場の明るさも一段と増し、サビからはペンライトの揺れも一層激しく小刻みに揺れて大盛り上がり。そこから一転、艶っぽい赤い照明から紫色へと会場を染めた「Passion Overdose」と、それまでの雰囲気を変えて翻弄。亀梨が鋭い視線を見せ、歌声も妖艶さを増していく。〈乾いた唇〉の歌詞に合わせて指で唇をなぞる仕草も。そしてステージ真上からはスパークラーが噴出。亀梨もチェックシャツをはだけさせ、素肌にネクタイという刺激的な演出で楽曲を披露した。
本編ラストは「ここにいなくても」。亀梨らしいストレートで伸びやかな歌声でK-SEAを包み込むように歌い上げ、最後の最後までオーディエンスを揺さぶるような演出で楽しませた。
間髪入れずに始まった「和也」コール。亀梨はTシャツにダメージデニム、ハラコとスタッズづかいのシューズで登場。タオルを肩にかけて、再びトロッコで再び客席へ。「Love it!!」では事前にレクチャーした甲斐もあって会場の一体感が生まれた。曲のラストではロングトーンを響かせた亀梨。バンドの華やかな演奏に「もっと!」と煽り、最後は「ジャンプ!」の声と共に銀テープが舞った。
手を伸ばすファンを前に「俺、ステージにいるよ」と自虐的に笑う亀梨。「新たな旅立ちの流れの中で、このタイトル『FROM HERE』、いま現在であり、そしてここからという(意味)。そしてファンの皆さんの新たな名称も“K-SEA”とさせていただき、自分の中ではアルバムとともに、これからの旅立ち、3つのテーマで、また新たな航海を始めさせていただきたいという思いでこのような流れを作りました」と述べた。
「本当にさまざまな環境、状況のなかでこうしてついてきてくださる皆さまの思いをしっかりと、僕自身も大切に育んでいきたいと思いますし。この関係をしっかりと守っていきたいと思っています」と続け、少し間を開けて、「本当に……うん……濁りのないエンターテインメントをしっかりそのまま届けられるように、受け取ってもらえるようにこれからもステージであり活動していきたいと思いますので、どうかこれから素敵な関係を一緒に作り上げていきましょう」と語ると、大きな拍手が送られた。
また、令和8年熊本地震への支援募金を呼びかけ、自分ひとりだけでは大きな輪にはならないが、たくさんの方たちの協力によって大きな輪となって届けられると感謝を述べ、深いおじぎをした。「僕もいるし、仲間もいるということをお互いに感じながら進んでいけたら、みんなのK-SEAを、時には穏やかで、時には大きい波が立ってもしっかり受け止めて進んでいきたいと思いますので、これからもどうぞよろしくお願いします」と深々と頭を下げた。
ラストは、亀梨にとって始まりの曲とも言える「絆」を披露。歌詞の〈絆〉に合わせて小指を見せるなど感情を込めながら丁寧に歌い上げ、時折音を浴びるようにして天を仰いだ。2番のサビでは、亀梨の「Say!」で、K-SEAによる大合唱も。亀梨は愛おしそうに会場を見渡していた。
「9年ぶり、新たな環境での一発目のライブとなりました。いかがだったでしょうか?」と投げかけ、「これまで歩んできた大切なもの、自分の中での大切な部分というもの。変わらないもの。そしてこれから新たな旅立ちの中で作り上げていく新しいもの。どちらも大事にこれからも歩んでいきたいと思います」と思いを述べた。
大阪公演からを振り返りながら、「一公演一公演、新しい宝物を詰めてこの瞬間を迎えています。今日いただいた思いを最終公演へ繋げていきたいと思います」と、1年かけて準備してきたというライブツアーの終わりを名残惜しそうに振り返り、「今後ともどうぞよろしくお願いします」と告げた。
最後は会場のペンライトを青色に染め、海のような景色に包まれながら「本当に楽しかったです、また会おうね」と、片目を細めて投げキス。「バイバイ」とステージを後にした。
開演前のトラブルに動じることなく、それさえステージの一部へと組み込むようにして乗り越え、これまでさまざまな舞台や番組などで磨いてきた手腕を発揮して観客をもてなした亀梨。ステージでは、楽曲や歌唱、演出、K-SEAとのやりとり。変わらぬ笑顔とトーク、楽曲ごとに世界観をくっきりと描き出す丁寧なパフォーマンスは健在。自らのステージにおける一つひとつを大切に思う姿勢と、その責任感が印象的だった。
新旧のスタッフの力を集結させて創り上げた今回のライブツアー。衣装やアクセサリーをはじめ、映像パートではグループ時代から続く“あの”スタッフの存在も。ツアーに帯同しながら、さらには「LOST MY WAY」を歌いたいと名乗りを挙げるスタッフも。ステージや機材、さらには差し入れのタッパーの返却先にも気を配る。そんな感謝とリスペクトを忘れない亀梨が、長らく築いてきたスタッフ陣との絆を随所に感じられた。
大航海の終焉から約10カ月。確立してきたものを解体するような大きなターニングポイントであっただろう。今回のライブでは、さまざまな経験を積み重ねてきた亀梨だからこその、しなやかさな強さが感じられた。
アルバムタイトルが『WAVE』であるように、目の前にどれだけの荒波が押し寄せようとも、ただ抗うのではなく、変化を受け入れるかのように。膝を柔らかくしながら自分らしいスタンスで波を乗りこなす、そんな亀梨のスタイルを感じた。あらゆる場面から変わらぬ温かい人柄を感じたのと同時に、凛とした佇まい、そして柔らかな笑顔が印象的だった。
アイドルグループでの長い活動を経て、ソロとして新たな道へ歩み出した亀梨。新たに設けた大きな宝箱へ、大切なもの、選び抜いたものを一つひとつ集めていくように、“亀梨和也”からこれからどんなクリエイティブが生まれ、発信されていくのか。凝り固まることなく、限界を設けずしなやかに。“FROM HERE”から、亀梨がこれからどんな景色を見せてくれるのか期待が高まるライブだった。