亀梨和也、9年ぶりのソロツアーで新たな航海へ “変わらないもの”と“新しいもの”を携えた『FROM HERE』
長く大きな航海を終えて、息つく間もなく新たな航海へーー亀梨和也の1stアルバム『WAVE』を携えたライブツアー『KAZUYA KAMENASHI LIVE TOUR 2026 -FROM HERE-』が、9月19日、最終地点である東京・東京ガーデンシアターで幕を下ろした。7月16日の大阪・フェスティバルホールを皮切りに、愛知、広島、宮城、北海道、福岡の全国7都市を巡った本ツアー。
アルバムタイトルが『WAVE』であるように、海を彷彿とさせる世界観の中、随所に変わらぬ亀梨らしさが会場を温かく包み込むようにして、K-SEA(ファン呼称)との特別な時間を過ごした。本稿では、9月19日に行われた昼公演の模様をレポートする。
トラブルさえ味方に変えた、亀梨和也のエンターテインメント
開演時間が少し過ぎた頃。チケット認証のトラブルを受けて、亀梨が場内アナウンスで説明。「最高の時間となりますように、全力を尽くして挑みたいと思いますのでどうぞよろしくお願いします」と挨拶した。モニターには「和也」とクラップを誘う絵文字が出現し、それに応えるオーディエンス。さらに「がんばれ」の文字一つで笑いを誘っていた。
ほどなくして、今度は本人が登場。上手から下手へと歩きながら、改めて事情を説明する。まだ入場できずにいる観客について「待ってあげたいな」と亀梨の心遣いに、会場から拍手が送られた。「あと7、8分かかるということで、本当はカッコよく登場したかったのですが(笑)」と自虐的に切り出し、「爆笑トークからスタートしましょうか」と急遽トークがスタート。
「デジタルもいいですが、こういうことが起こるとやはりアナログもいいのかななんて思うのですが……」と切り出し、「デジタルで思い出しました! 僕もあったんです」と、この日の朝に訪れたサウナで、交通系決済が使えず小銭を取りに行ったというエピソードを披露。さらに収録カメラが入っていることなども伝え、「さあ、カッコつけてきます!」とステージを後に。臨機応変な対応と姿勢で、トラブルさえもステージ演出の一部に組み込むかのように昇華させ、亀梨のソロライブがついに幕を開けた。
2017年の自身初のソロコンサート以来、およそ9年ぶりであり独立後初の全国ツアーの幕開けは、亀梨のアカペラから始まる「POMPEII」から。ステージを覆う紗幕越しに亀梨の姿。その目元は黒いレースのアイマスクで覆われ、妖艶な雰囲気でオーディエンスの“もっと見たい”という気持ちを掻き立てる。火の粉が飛び散り、マグマのような荒々しい映像。至るところに炎が見える海、そして海中へと沈んでいくーーあれよあれよと言う間に“亀梨ワールド”へと引き込まれていった。
「WAVE」では紗幕越しに浮かぶゴールドのアンティークフレームが5つ。亀梨はオーバル型の額縁に腰掛けて歌唱する“額縁フライング”を披露。エメラルドグリーンの海底から立ち上がる気泡。そんな幻想的な世界観は、まるで海底に出現した美術館のよう。さらに2019年に発表した「Rain」を感情たっぷりに歌い上げるなど、序盤から新旧を織り交ぜたセットリストで魅了。また、「ゆらゆら」ではアンティーク調の赤いソファに寝そべったり、立ち上がったり、手を左右に“ゆらゆら”と揺らしたりと、まるで会話をするかのように、ミュージカルさながらの表現で歌い上げていく。
フーっと呼吸を整えた亀梨。「3度目、4度目まして、亀梨和也です」と改めて自己紹介すると、大きな拍手に包まれた。「すみません、頭から変則的な形になってしまいまして。大変長らくお待たせして、皆さんの貴重なお時間をいただいてしまったのですが、この後の予定は大丈夫ですか?」と気遣う。「ソロとしては約9年ぶりとなります。僕もねすっかり大人っぽくなって(笑)」と照れくさそうに続け、「だって31歳、前回が……」と自身のソロライブを回顧。「今こうしてソロとしての新たなる一歩が始まっていますので、こうしてたくさんの方たちと、いい時間を過ごせるのが本当に幸せですし、一公演一公演素敵な時間を重ねていけたらと思っていますので、今日は最後までよろしくお願いします」と結んで次のブロックへ。
ベースサウンドが響く中、「Crushing On You」など最新アルバム曲を中心に披露。電球スタンドを使って腰をくねらせたり、踊りながら滑らかに移動したりと、ステージを大きく使ってパフォーマンスする。その後も客席とラリーを交わす場面も。「もっと声出せよ!」と煽る亀梨に、全力で応えるオーディエンス。亀梨のパフォーマンスも激しさを増していく。激しい鍵盤の音色にギターリフ、力強いドラムのバンドサウンドは、気づけば「Emerald」を奏で、メロディに合わせてファンの歌声が重なる。重厚なバンドサウンドを浴びるようにして歌う亀梨。感情を込めながらオーディエンスを揺さぶった。
MCタイムでは、開演前から並んでグッズを購入してくれたファンへの感謝をはじめ、ライブの日程やグッズを一から制作する大変さを味わったことを語った。グループ活動で与えられていた環境は当たり前じゃないと、新たな一歩を踏み出した今、改めて実感したという。
システムトラブルを受けて急遽ステージに立ち、トークでもてなした亀梨だが、MCではその直前の楽屋での出来事を明かした。開演5分前に向かおうとしたところ時間が押していることがわかり、手持ち無沙汰になってしまった亀梨。「楽屋で準備が終わったら、そのまま立ち止まらずステージに立っていたい人間なのね。(舞台)袖とかに行っちゃったら緊張していろんなこと考えちゃうから。考えると、考えたことをミスったりするのよ」と明かした。ステージ上では微塵も感じさせない亀梨の“実は〇〇”というエピソードはどこか新鮮だった。この日来場していた両親との和やかなエピソードや、声優として出演するアニメ『神の雫』のアフレコ現場での話など、たっぷりと語った。
また、衣装にまつわるトークも。「衣装紹介、いつもしてるんだけど忘れちゃった(笑)」と亀梨。「MCの時間めちゃくちゃ長くなっているんですけど大丈夫ですか?」と確認しつつ、衣装やアクセサリーを紹介していく。「これまでお世話になってきたスタッフさんもそうだし、今回新しくお世話になったスタッフさんとか、新旧で新しい環境の中でやらせてもらっている」と続け、「スタイリングチームも3チーム入ってもらって、オープニングの白衣装は僕の『Inside 23』というプロジェクトで一緒にコートとかを作っているパターンナーさんやデザイナーさんと一緒に作らせてもらって。アクセサリーも全部オリジナルで作っているんですよ」と、シルバーのネックレスやリングを見せながら紹介。「シルバーだから重たいんだけど、職人さんが重さを散らしているから、その配置でそんなに重たく感じないのよ」と、作り手への敬意を滲ませながら、愛おしそうに触れた。
さらに、終盤で披露する「Love it!!」の振り付けをレクチャー。「これはね、父親と母親がやってると思ってぞっとするんですけど(笑)」と照れくさそうに続け「ぜひお願いしますね」と呼びかけた。
このツアーで最長のMCになったと話す亀梨。そこから「もしもし」と亀梨に続いて「カメよ亀ちゃんよ」とオーディエンスが応える。着信音を合図に、メロウなギターサウンドが響き「TALK to ME」へ。そこからガラリと空気を一変させ、「1582」では紗幕越しに艶やかな和柄の羽織姿で登場。大ぶりの扇子を操ったり、和傘をくるくると回したりしながらステージを赤く染めあげる。紗幕があがると、丁寧に着物の袖を整えてフライング。くるくると舞い上がり、身体を大の字に広げる。そして片足で逆さ吊りになると両手を広げて見せるなど、指先まで美しいフライングを披露した。最後は懐に手を差し込んで色気たっぷりの吐息。これまでに度々披露してきたソロ楽曲ではあるが、身体の端々まで神経を行き渡らせた美しさは健在。年月を重ねてさらに増した艶っぽさとともに、亀梨ならではのジャパネスクな世界観に酔いしれた。
続いて、ワインレッドのベルベットジャケットにステッキを携え、顔面の片側を覆う仮面をつけてより怪しげな雰囲気を纏いながら、未音源化楽曲「LOST MY WAY」を披露。ダンサーと息を合わせ、縦に横にとフォーメーションでも魅了した。口笛が響き、亀梨が歌うワンフレーズの終わりに「You」と指差しすると沸き立つオーディエンス。強くもどこか悲し気に響く鍵盤の音色が響く「CAN’T CRY」では、マジックミラーを使いながら、何かを渇望するかのように世界観たっぷりに歌い上げた。「someday for somebody」ではトロッコで客席へ。後方や上階のファンに顔を見せるなど、ぐっと距離を縮め、曲のラストには思いを込めるように拳をぎゅっと握ってみせた。