50年後も活動していたい

――矢野さんはボーカル面で新たなトライができたと感じている曲ってあります？

矢野：「大丈夫じゃない」かな。この曲は1番が女性目線、2番が男性目線で書かれた歌詞なので、歌に関しては誰が聴いてもわかるくらいくっきり色を分けたんですよね。今までやってこなかったことだったので、挑戦でした。

田口：この曲はディレクションもかなり細かくやりましたね。「もうちょい口開けるのやめて」とか、「吐く息の量を増やして」とか。結果、すごくいいボーカルになったと思います。

太我：この曲はパッと聴き、バラードっぽい感じではあるんですけど、ドラムはけっこうスポーツ寄りなんですよ。ミドルテンポだけど激しいっていう。なので叩いてて楽しい曲でもありますね。

――では、田口さんはソングライティング面でトライできた曲は？

田口：「あなたが眠るその瞬間まで」ですね。この曲はストリングスを生で入れたり、ドラムレスにしてみたり、新しい挑戦ができました。僕らは今までシーケンスミュージックというか、打ち込みの曲をたくさんやってきたからこそ、今ここで生音重視の曲をやることでいいアクセントになるんじゃないかなと。ここまで振り切るのは勇気がいりましたけど。

――シンプルなオケの上で響くボーカルもすごくあたたかくて。

矢野：上手ですよね。

田口：いいから、自画自賛は（笑）。でも、ずっとハル（矢野）はバラード声だと思っていて。どんなに明るい曲を歌っても、どこかに悲しさが少し含まれているというか。だからこういう曲にすごくマッチするんですよね。

――ドラムレスの曲を入れる柔軟さもいいですよね。

太我：そうなんですけど、ドラムがない曲って僕には送られてこないんですよ。アルバムが完成して、ミックスチェックのときに初めて知りました。「あ、こんな曲あったんだ。知らなかったんだけど」みたいな。

田口・矢野：あははははは！

田口：ドラムのない曲を事前に送って、「俺の出番ないんだ」って落ち込むとかわいそうなので、あえて知らせなかった感じですね（笑）。

――ではそんな太我さんがトライできた曲というと？

太我：「未来へ」はレコーディングの最中に電子音が欲しいって話になったんですよ。で、バスドラを打ち込みにするから、ドラムはバスドラを踏まず、上半身だけで演奏したんですよね。それが自分としては新しかったし、めっちゃ難しかったです。でも、仕上がりを聴いたらこういうパターンもアリだなとは思いました。

――タイトル、歌詞、サウンドすべてにポジティブな思いが込められている曲ですよね。

田口：そうですね。めっちゃアッパーでもないし、めっちゃバラードでもない、このくらいの曲で思いきり楽しめる未来が来たらいいよねっていう思いで作りました。ファンと一緒に、ここからも頑張っていこうという思いも込めたので、アルバムの最後に入れることにしました。

矢野：今までにない曲調、リズムの入り方だったから最初はとまどったところもあったけど、曲の雰囲気がすごく好きだったので、自然と乗ることができましたね。未来を意識して明るく歌ったので、そこにある思いを感じてもらえたらうれしいです。

――ボーナストラックにはコロナ禍が始まったタイミングで世に出た「全部いい」が独唱バージョンであらためて収録されています。そこにはどんな意図があったのでしょうか？

田口：僕らはこの曲がほんとに大好きなんですけど、最初に出したタイミングがタイミングだっただけに、ちょっと遠ざけようとしちゃう人もいるんじゃないかなと思ったんですよね。曲がどうこうではなく、悪い時期のこと、悲しい思い出を人は忘れようとするものだから。でも、コロナの状況が落ち着いてきたところもあるし、それを踏まえて僕らも新たな動きを見せようと考えているタイミングでもあるので、そこであらためて「全部いい」を出すことに意味があるんじゃないかなって。

――ピアノとボーカルだけというシンプルなスタイルだからこそ、メッセージがより鮮烈に響いてきますよね。

矢野：ピアノだけで歌うことにはすごく新鮮さがありました。テンポ的にもゆったりとしたアレンジになっているので、細かいところまでこだわったニュアンスが込められたと思いますね。自分の思っている感情を、ありのままに吐き出せたと思います。

――この曲もドラムは入ってないですけど……。

太我：あ、これは事前にやることを知ってました（笑）。「全部いい」のような曲は、バラードだからこそ伝わる思いもありますからね。あらためてたくさんの人に届いたらいいなって思います。

――では最後に、アルバムタイトル『TRINITY』に込めた思いを聞かせてください。

田口：3人で作る三角形には、どこから攻められても死角がないと思うんですよ。しかも、いろいろ調べてみたら三角形の中に閉じ込めたものは腐らないとか、不思議な逸話があることも知って。なので、メジャー2ndアルバムは“三位一体”という意味を持つ『TRINITY』という三角に閉じ込めて、永遠に聴かれ続けるものにしようと。同時に、ライブを封印した状態を耐えることができたのは愛おしいこの3人だったからこそなので、「じゃ、ここからまた始めましょうか」っていう意味合いも込めた感じですね。

――ある意味、ノンラビの無敵宣言とも受け取れますね。

田口：そうですね。今の僕らって、もちろんめちゃくちゃ売れたい思いはあるんですけど、それよりもこの3人で長く続けたい思いのほうが強いんですよ。3人の努力以上の結果は返ってきて欲しくないというか。ゆっくりじわじわとでいいから、50年後も活動していたいなっていう。それがこの3人だったらできるはずだっていう思いですね。

矢野：うん。僕のおじさんである坂崎（幸之助）さんがいるTHE ALFEEみたいな存在になっていくのが今の理想ですね。

■リリース情報
メジャー2ndアルバム『TRINITY』
2021年12月22日（水）発売
・初回限定盤【CD+DVD】¥4,070（税込）
・通常盤【CD only】¥2,750（税込）
・配信はこちら
・購入はこちら

＜CD収録内容＞
01.優等生
02.上向くライオン
03.Needle return
04.BAKEMONO
05.dress
06.大丈夫じゃない
07.全部ブロック
08.三大欲求
09.あなたが眠るその瞬間まで
10.未来へ
〜bonus track〜（初回限定盤のみに収録）
全部いい -独唱-

＜DVD収録内容＞※初回限定盤のみ
「5周年ということで、3人の中で誰が1番強いのかを確かめる卓球大会を開催！けど仲間だからこの5年を振り返る特別トークも、気付いたらイルカをバックにアコースティックライブしてたDVD」

＜CDショップ 予約購入先着特典＞
・TOWER RECORDS全店（オンライン含む）：マスクストラップ
・Loppi・HMV全店（HMV&BOOKS online含む）：缶バッチ
・TSUTAYA RECORDS（TSUTAYAオンライン予約分含む）：缶ミラー
・Amazon：メガジャケ
・楽天ブックス：アクリルキーホルダー
・セブンネットショッピング：三つ折り卓上カレンダー
・その他法人：ミニステッカー
・楽天ブックス限定：Non Stop Rabbitオリジナル配送パック

◆InterFM presents『Non Stop Rabbit × TOWER RECORDS CAFE』コラボカフェ情報
2021年12月21日（火）～12月30日（木）
・TOWER RECORDS CAFE 渋谷店
（東京都渋谷区神南1-22-14 タワーレコード渋谷店2F）
・TOWER RECORDS CAFE 名古屋栄スカイル店
（愛知県名古屋市中区栄3-4-5 SKYLE 9F）
公開収録イベント参加方法：https://tower.jp/article/news/2021/10/27/c101

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